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2017年10月28日

感染根管治療5:「ガッタパーチャポイントを溶かす液・シーラーを溶かす液」



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

前回、根管充填材の除去の教科書的な概要を書きました。→感染根管治療4「根管充填剤はなぜ取れづらいのか」

まとめますと、GPソルベントにより、ガッターパーチャポイントを溶かしながら除去していくというものでした。



GPソルベントで溶かす

GPソルベントで溶かす2

しかし、それでも除去出来ますが、なかなか大変かと思います。

それは前回のブログでもお話ししました、‘シーラー’が固まっておりそれなりの強度歯質接着性を有するからであると考えられます。

それは、意外と手用のファイルなどの手用器具でとるには大変なわけです。

そこで私が工夫してみたことは、‘シーラーの液’を利用する方法です。

<シーラーの液>

シーラーの液

シーラーの液2

ここからは、どの教科書でも私はみたことがないですし、合っているのかどうかは証明されていないお話なので、あくまで参考としてお聞き下さい

皆様もお試しいただければと思うのですが、

シーラーとは、下の写真のように、粉と液がありまして、

<粉と液>

粉と液

その二つを混ぜて、練ります。

<練ります>

練る

そして、ガッタパーチャポイントにつけて根管充填していくわけですが、

<根管充填>

根管充填

例えば根管充填を行なった後、練ったシーラーが余ると思います。

それを数時間放置していると固まります。

<練ったシーラーが固まる>

シーラーが固まる

そこに、再度シーラーの液を垂らして練ってみて下さい

<シーラーの液を加えて再度練ってみる>

シーラーの液を加えて再度練る

すると、固まっていたシーラーがまた復活といいますか、柔らかくなりまだ硬化していない状態に戻るのです。

つまり‘シーラーの液’を固まっているシーラーに加えると‘溶ける’もしくは“柔らかくなる”ということです。

ガッターパーチャポイントは‘GPソルベント’で溶かして

固まったシーラーは‘シーラーの液’で溶ける

ということです。

根管充填材は、ガッターパーチャポイントとシーラーで出来ていますので、

これで両方溶かすことが出来ますね。

いかがでしょうか?これは利用出来そうだと私は感じたわけです。

それらも含めて、次回以降実際の根管充填材の除去の仕方をご紹介していきます

ここまでお読み頂きありがとうございました。


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posted by さけいくら at 11:40 | Comment(0) | 感染根管治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月21日

感染根管治療4「根管充填剤はなぜ取れづらいのか」



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

前回までで、根管充填材の材質とそしてその意味についてお話しました。→感染根管治療3「根管充填材、なぜその材料を使うのか?」

今回より、感染根菅治療の手技の一つである、根管充填材の除去について書いていきます。

あくまで私のやり方ということでして、さらに、ルートチップやエンジンリーマー、ニッケルチタンファイルなど、ない医院があるかもしれませんので、

それらは使わないで根管充填材を除去する方法に焦点を当てて
お伝えしようと思います。

まず、

根管充填材の除去を試みた事がある先生方は、その硬さ取れにくさを感じた事がおありになるかと思います。

ファイルを押し込んでも入っていくものではありませんね。

ふと私もなぜこんなに硬いのだろう、取れづらいのだろうと感じたわけです

<なんで?>

なぜ?

例えば、ガッタパーチャポイント単体であれば、おそらくすぐに取れるはずです。

ガッタパーチャポイントは、下の写真のように箱に入って保存してありますが、

<ガッタパーチャポイント>

ガッタパーチャポイント

ずっとこのままです。ガッタパーチャポイント同士がくっついたり、硬くなったりしないわけです。

なので例えばガッタパーチャポイントのみを根管充填してあればピンセットでつまんでヒョイっと取れるはずです。

<ガッタパーチャのみであればピンセットでつまんででも取れるはず>

ピンセットでつまんででも取れる

しかしそうではないので、おそらくこの根管充填材の硬さや取れづらさは

シーラー(酸化亜鉛ユージノール)が関わっているだろうと予想出来るわけです。

<根管充填材の除去しづらさは、シーラー(写真の白い液)が関わっていると予想>

シーラー(写真の白い液)が関わっていると予想

では、なぜシーラーが根管充填材を取れづらくしているかと考えると、真っ先に頭に浮かぶのは、

‘歯質接着性’があるからと考えられます。

根管にくっついているので、取れづらいのだとなります。

また、シーラー自体も固まります(硬化)

しかし、シーラーの歯質接着性硬化は確かに根管充填材を除去しづらくしている要因でありますが、それだけではないかもしれません

というのも、酸化亜鉛ユージノールの歯質接着性のメカニズムは、なにであるかというと、キレート結合というものに当たります。

キレート結合のメカニズムは勉強しても面白いとは思いますが、臨床で大事なことは

どれくらいくっついているの?という事です。

実は、キレート結合はそんなに接着力は強くないのです。

さらにシーラーが硬化した後の機械的強度もそんなに強くないのです。

それでもばい菌が進入しないくらいの接着力や機械的強度はあります。ばい菌には機械的な力はないからですね。

では、実際に術者が手動でガッタパーチャポイントを除去しているときに感じる、

なんでこんなに取れづらいの?と思った時に、

ガッタパーチャの機械的強度かあ、となるわけです。

上手く出来てるねと臨床をやっていて思ったりします。

では、という事で、ガッタパーチャポイントを溶かせば良いのでは?

という事で臨床では先生方は‘GPソルベント’という薬剤を使用するかと思います。



GPソルベント

GPソルベントをあまり使わない先生もいらっしゃいますがGPソルベントがおいていない医院はないかと思います。

つまり、ガッタパーチャポイントを溶かせばシーラー(酸化亜鉛ユージノール)には、接着力も機械的強度もあまりないので、手用ファイルで取れるだろうというわけです。

これがオーソドックスなガッタパーチャポイントの除去方法ですね。

教科書にも根管充填材の除去にGPソルベントをファイルにつけて、根管充填材を除去すると書いてあります。



GPソルベントの教科書的な使用法

GPソルベントの教科書的な使用法

しかし、やってみた先生方はお分かりかと思いますが、これだけでは取れない、まあ頑張ればなんとかいけるのですが、完全に除去するのはとても大変です。

さすがシーラー。機械的強度が弱いと言われつつも、それなりに接着性もあり、シーラー自体も固まっているわけです。

ちょうど手用でとるには大変なくらいに

本当に上手く出来ているなあとまたまた感じます。

各々単体では、造作もなく除去できるでしょうが、二つの材料が相互に関わりあっているのです。

そして、

例えばガチガチに硬かったり接着力が強ければ、ファイルが入っていかないので、再根管治療はできません

かといって柔らか過ぎても強度が足りないわけです。

この絶妙な強度・接着力、考えた人は天才か?と感じたりします。

「ゴムを酸化亜鉛ユージノールにつけて根管内に詰めていく」

学生時代、根管充填を学んだ際に'なんか原始的な方法だな’と感じたものでしたが

何十年もこの根管充填法が採択されているわけですが、それには‘わけ’があるのだと、

根管充填材を除去しながら思ったりします

ただ、感心しながらも根管充填材は全て除去しなければなりません

では、どうするか?

そのままでは取れない、簡単にいかないいかない根管充填材の除去ですが

私なりに色々工夫してみたので、その方法を次回よりご紹介致します。

ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。







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posted by さけいくら at 09:13 | Comment(0) | 感染根管治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月09日

感染根管治療3「根管充填材、なぜその材料を使うのか?」



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

感染根管治療の動画はこちら

感染根管治療の一番の最初の難関は、

‘根管充填材の除去’

かと思います。

<根管充填>

根管充填

前回、なぜ根管充填をしなければならないかと、根管充填材には、‘ガッターパーチャポイント’‘シーラー’という材料を使用する事を書きました。→前回

では、

なぜその材料を使うのか?

というのが今回のブログの趣旨でございます。

あまり専門的になり過ぎないように説明したいと思います。

まず、ガーターパーチャポイントシーラーというのはどんなものかといいますと下の写真のものとなります。

<ガッターパーチャポイント>

ガッターパーチャポイント



<「キャナルス」シーラー>

「キャナルス」シーラー

では、

ガッターパーチャポイントとはなに?

シーラーとはなに?

というのが今回のブログ記事です。

ガッタパーチャポイントの成分はゴム酸化亜鉛です。

そして、今回は頻繁に使われているであろう「キャナルス」というシーラー製品を例にしますとシーラーの成分とは酸化亜鉛ユージノールです。

他にも入っていますが、主成分としては上記となります。

商品材質→ガッタパーチャポイントの成分 | OneDental

キャナルスシーラーの成分

なんでこの材料を使用するかと申しますと、色々理由がありますが、

最大の理由は、酸化亜鉛ユージノールが歯質とくっつく性質(歯質接着性)があるからだと、私は思っております。→酸化亜鉛ユージノールセメントの特徴 | OneDental

ガータパーチャポイントは強度を与える為でしょう。

あえて、強調した言い方をしますと、

酸化亜鉛ユージノールに

‘歯質接着性があるおかげ’で、

前回のブログでお話ししました‘死腔’本当の意味でなくす事ができるのです。

本当の意味と申しましたのは、パッと見隙間がないように見えても、細菌はとても小さいので、ばい菌からすると隙間だらけという事があるからです。

<死腔をなくし、ばい菌の侵入を防ぐ>

死腔をなくし、ばい菌の侵入を防ぐ

<でもパッと見隙間がなくても、ばい菌からすると隙間だらけかも?>

ばい菌からすると隙間だらけ?


ばい菌の大きさは、0.5〜100ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリ)なので、歯質と接着していない限り、入っていってしまう可能性があるわけですね。

時々シーラーの代わりにビタペックスを代用する先生もおりますがビタペックスは歯質接着性がないので、感染予防としてどうかな?とは感じます

<ビタペックスには、歯質接着性はない>

ビタペックスには、歯質接着性はない

また、カルシペックスなど、根管内に留まる貼薬を使った場合は、それらは根管充填の前には全部とっておかないと残っている部分は、歯質と接着しないということになります。

<根管内に薬が残っていると、シーラーが歯面に接しないので、接着しない>

根管内に薬が残っていると接着しない

これらの事を知ると、根管治療も感染根管治療の最後に行なう‘根管充填’操作も変わってくると思いますので是非お試しあれ、です。

そして、シーラーに含まれる酸化亜鉛ユージノールの歯質接着性が根管充填後の感染予防に重要だと思うという記事を今回書きましたが、

感染根管治療の手技の一つである、根管充填材の除去を難しくしているのも、この歯質接着性であります。

次回より、いよいよ根管充填材の除去の仕方について順々にお話していきます。

ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。



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posted by さけいくら at 11:05 | Comment(0) | 感染根管治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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