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2020年11月04日

感染根管治療11「根管充填材の除去D(完全なるGP除去の仕方)」



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

今回のブログはブログに連動した動画も撮影致しました。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管充填材除去」

ご参考になさっていただければと思います。



前回まで、根管の開け方(根尖まで器具を通す)拡げ方(根管拡大・形成)、と肝になる部分について書いてきました。

感染根管治療10「根管充填材の除去C (根管形成の仕方)」


感染根管治療8「根管充填材除去A(根尖到達の仕方)」

これでほとんど終わりかと思いきや感染根管治療の場合は最後の仕上げがあります。

例えば根管形成がNo.35号まで成ったというのに、下の写真のようにGPが残っている事はないでしょうか?

<根管形成後もGPが残っている>

IMG_1706.JPG

感染根管治療の一番大事な事は感染源の完全なる除去です。

根尖に貼薬出来ればかなりの症状はなくなりますが、再感染を防ぐためには、元々入っているGPを全て取り切りたいところです。

今回はこのGPを完全に取り除く方法をご紹介していきます。

方法は3つあり、

1つは、さらに拡大していくという事ですが、あまり大きく拡大するとその分残っている歯質は薄くなり強度は落ちてしまいます。

2つ目は、以前動画でもご紹介したHファイルを根管壁に押しつけながら引くやり方

インターネット歯医者さん〜実践編〜カテゴリ:根管治療


ですが、こちらでも、GPのかけら的なものが残ってしまう事があり、あまりHファイルを使うのは破折が怖いですし、切削片が根詰まりを起こす可能性もあります。

なので、今回は3つ目のGPを溶かす方法をお伝え致します。

やり方は感染根管治療8で行なった方法と同じなのですが、リーマーに綿栓を巻きつけることがポイントです。

<リーマーに綿栓を巻きつける>


IMG_1715.JPG

巻きつけるリーマーの号数拡大した号数よりも1つ手前もしくは2つ手前の号数と致します。

<想定ではNo.35まで拡大なので、No.25のリーマーに巻きつける>


IMG_1715.JPG

そもそも、なぜ拡大後にGPが残存してしまうのかと考えますと

根管自体が漏斗状の形態をしているからです。

<根管形態は漏斗状>


IMG_1711.JPG

つまり、上部に向かって広がっている形態をしています。

ここに拡大時にファイルを入れた状態を想像してみましょう。

<ファイル挿入時>

IMG_1710.JPG

根尖の方は、根管内にギチギチにファイルが入っていますが、上部の方は隙間が空いていますね。

これでは何度ファイリングしてもGPが取れません。なので、Hファイルを側面の壁に押し付ける方法を動画でお伝えしましたが、それでも三次元的に全てを削除するのは難しい時があります。(動画では取れていますが)

そんな時には溶かしてしまえば良い

のですが、

GPソルベントの液も細いところにはなかなか入っていきません

<細い通路には液体は表面張力があり入っていかない>

IMG_1711.JPG

なので、またリーマーに綿栓を巻きつけて、行う方法が有効かと思うのです。

<綿栓を巻きつける>

IMG_1715.JPG

綿栓の形状も漏斗状をしておりますので、根管内の形状と一致します。

<綿栓の形状と根管の形状が一致>


IMG_1716.JPG

実際の根管より、綿栓を巻いた状態で少し太い状態に巻ければ、上から挿入した際に、綿は圧縮しますから、三次元的にも根管の壁にGPソルベントが行き渡ります

<ピッタリ>

IMG_1717.JPG

この状態で、根管内が溶けたGPでジャブジャブになるまでファイリングしてみてください。

すると下の写真のようになります。

<溶けたGPでジャブジャブ状態>

IMG_1721.JPG

ここから交互洗浄を行なうと、、

<完全なる根管充填材の除去>

IMG_1714.JPG

取れましたね。レントゲンで確認すると、、

<根管充填材除去後>

IMG_1708.JPG

これで完全なる根管充填材の除去が成りました

注意点としましては、根尖の方はもう取れているわけなので、ファイリングの際にあまり根尖方向に押し付けないようになさってください。溶けたGPやGPソルベントが根尖外に出てしまうとやっかいです

あくまで根管内だけの操作とすれば、私はこれが1番効率よく、過大な根管拡大もせずに、根管充填材の除去が行えると思います。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管充填材除去」

是非、お試しあれ、です。

さて、これにて感染根管治療の章は終わりとなります。

それと同時に、一般的な治療に関してはこの感染根管治療の章をもって切りが良いと申しますか、次章へ移る前に今までのブログ記事をまとめていこうと思っています

修正箇所は今後メルマガにてお伝えしていきます

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posted by さけいくら at 09:56 | Comment(0) | 感染根管治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月28日

感染根管治療10「根管充填材の除去C (根管形成の仕方)」



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

今回のブログはブログに連動した動画も撮影致しました。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管形成」

ご参考になさっていただければと思います。



前回、根管形成の概要と難しさについて書きました。

前回ブログ感染根管治療9「根管充填材の除去B(教科書的な事と問題提起)」

前回、職人技であると書きましたが、根管の中は見えませんし、拡大鏡を使ったところで、どうやっても断面的に見ることは出来ません。

なので、

三次元的に考えながら想像しながら、根管治療を行うと、根管治療が上手くなる。と昔先輩に言われたことがあります。

<三次元的に考える>

main-qimg-e68f64872adeda00545e5d430151e264.png

今回は、見えない根管を三次元的に考え、ではどう対応していくのかということを念頭に書いていきたいと思います。

よろしくお願い致します。


まず、根管がまっすぐであれば、そう苦労はないのですが、歯というのは生体であり

厳密には機械のように完全にまっすぐな根管は存在しません

<本来の根管を染色した写真>

img-root002.jpg

良くあるのが、本来の根管の方向と違う方向に力をかけてしまい、ステップを作ってしまうということです。

<違う方向に力をかけてしまい、ステップを作ってしまう>

niti_img3.jpg

こうならないようにするため、あまり力をかけたり、ファイルを回転させたりせず、細いファイルから順番に入れていくというのが教科書的なことなのですが、

<あまり力をかけない。ねじらない>

230_section01_img02.jpg

もうひとつテクニックをお伝え致します

それは、

ファイリング操作の際に、壁に当たる度に、指をファイルから離すということです。

<こまめにファイルから指を離す>

IMG_1691.JPG

こうすることにより、三次元的に何が起こるかと申しますと

指を離す、ということにより、間違った方向に向く力がなくなり、ファイルが本来の根管の方向に向くのです。

<指を離すことにより、間違った方向への力が抜け、本来の根管の方向にファイルが向き直る>

IMG_1692.JPG

IMG_1691.JPG

こちらは、動画撮影も行なっている為、参考にしてみてください。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管形成」

あまり力をかけずファイルの回転は4分の1回転まで少し押したら、ファイルから指を離しファイルが向き直ったら、その方向にまた少し押すといった具合です。

これが、基本的なファイル操作となりますので、このあと根管拡大(根管形成)について書いていきますが、すべてこのファイル操作で行ってみてください

では次に、根管拡大(根管形成)について書いていきます。

こちらは麻酔抜髄後の根管形成も同じです。

といいますか、想定としましては麻酔抜髄後の根管形成の方が拡大していくのが歯質であり、柔らかいGPよりも難しい為、そちらを想定しております。

まだまっさらな状態の麻酔抜髄時の根管形成が出来れば、すでに一度根管形成されて柔らかいGPが詰まっているだけの感染根管治療時の根管形成は容易に出来るようになります。

やり方はあくまで私のやり方ですが試行錯誤の末たどり着いた私の根管拡大ルールなので、是非ご参考になさってください。

まず、なんでつまるんだろう?と三次元的に考えた時に、

まず、ファイルの形を思い浮かべてみましょう。

<ファイルの形>

8FA495i8ECA905E_H83t834083C838B02.jpg

断面は、ギザギザしているのがわかるかと思います。

そうすると・・

下の図を見てみてください。

<NO.15 一回目の根管の様子>

IMG_1699.JPG

上の図はおそらくNo.15をやっとAPEXまで到達させた直後の根尖の様子かと思います。

この状態と比べてNo.15でAPEXまで入れて引く→ No.15でAPEXまで入れて引く→ No.15でAPEXまで入れて引く三回行なった時の状態は下の図のようになっていると思われます。

<No.15三回目の根管の様子>

IMG_1698.JPG


次に少し太いNo.20号を入れて根管拡大をしていくわけですが、どちらがNo.20号が入りやすいと思いますでしょうか?

<No.15三回目の根管の様子>の方が入りやすいように感じていただけたら私の拙い絵も報われます。

<NO.15号をAPEXまで入れた後引き抜き、入れた後引き抜きと三回やった後の方が、次の少し太いNo.20号が入りやすい>


IMG_1698.JPG

つまり、

ギザギザがなくなった状態で次の号数へ持ち変えるのです。

ギザギザがなくなった状態は目には見えませんから、感覚な訳なのですが、No.15をアペックスまで到達させた後引き抜く際に、その時抵抗があるかないかです。

<抵抗があればギザギザが残っている。抵抗がなければギザギザがなくなってスムースになっている>

IMG_1700.JPG

だいたい何回かやっていくうちに抵抗がなくなり三回目くらいにほとんど抵抗を感じなくなります

この状態で少し太い次の号数へ行きます

ギザギザが残っている状態で次の号数へいくと、そのギザギザが根詰まりの原因となりますので注意です。

<ギザギザが削片となり根詰まりを起こす>

IMG_1703.JPG

これが基本的な考え方になります。

私はこの事に気づいた時、教科書にはギザギザが書いてなかったんだなあ(自分の勉強不足かもしれませんが)と思いました。

ギザギザがない状態であれば、次の号数で拡大できるように、ファイルのサイズというのは企画されていますのでご安心ください

そして、

次の号数のNo.20へ持ち替えて根管拡大(形成)を進めるわけですが、ここで一つのルールを提示させていただきます。

それは、

根管拡大(形成)ルール:「一回でAPEXまで行かなくても良い、しかし二回目には行かなければならない。二回でいかなかった場合、三回目を行なってはならない。」

という事です。

私の自分ルールですが、お試し頂けたらと思います。

まず、物理的に、いくらNo.15でスムースな形態になっているとはいえ、No.20はそれより太いわけなので、一回で入るはずがありません

しかし色々試しましたが、きちんと前の号数の根管形成がなされていれば二回目には必ず入ります

そのように、ファイルの号数は規格されていますのでご安心ください。

しかし二回目に入らない場合に三回目をやったり上部を広げようとさらに次の号数に行ったりするとアウトです。それで詰まる事が多いです。

なので、次の号数へ行った際に二回目が入らなかった場合はまだギザギザが残っているかもと、また前の号数に戻る事がポイントになります。

ルールを図示しますので、参考にしてみてください。

1.<No.15号を3回。抵抗なく引き抜けるようになったら>



2.<No.20号へ持ち替え、2回やってもAPEXまで到達しないとなったら>




3.<No.15をさらに3回>



4.<No.20でAPEXまで到達>



5.<No.20で3回。抵抗なく引き抜けるようになったら>




6.<No.25へ持ち替え、2回やってもAPEXまで到達しないとなったら>



7.<No.20でさらに3回>




8.<No.25でAPEXまで到達>



といった感じです。

こちらも動画を撮影しましたので、ご参考になさってください。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管形成」



私のやり方が絶対ベストというわけではないのですが、私はこのやり方で根管形成を行えてはいます

さて、

ここで追加ルールを追記致します。

一回手順を戻り、前の号数で三回程行なったあと、元の号数に戻り行なうとアペックスまで到達する事が出来ると上記には書いてありますが、

到達しなかった場合はどうでしょうか?

追加ルール:「その場合は、もう一度前の号数に戻るのですが、前の号数で三回行なったあと、Hファイルで一回か二回行います。」

<次の号数に行く前にHファイルを挟む>

8FA495i8ECA905E_H83t834083C838B02.jpg

要は固い根管の場合なかなかギザギザが取りきれない事があり、先の方法ではAPEXまで到達出来ないケースがあります

その場合は、もう少しギザギザをとりスムースにする為に通常の過程にHファイルを加えます

これでほぼ確実に次の号数でもアペックスへ到達させる事が出来ます

是非、お試しあれ、です。

ただ、まだ根管内が細いうちにHファイルを使用すると破折のリスクが増える為、使用には注意なさってください(絶対にHファイルを回転させないこと)。

これにて、麻酔抜髄時でも感染根管治療時でも根管拡大(根管形成)出来ると思います。

今回お話ししました

1.基本ファイル操作
2.根管拡大(根管形成)ルール
3.根管拡大(根管形成)追加ルール

を守ってお試し下さい。

私は根が湾曲している時は、No.25からニッケルチタンファイル(手用)を使用しますが、やり方は同じです。

いって戻っては面倒に感じますが、逆に、根詰まりを起こしたりした後の方が面倒になります。

ルールを作って行うと処置にかかる時間を規定する事にもつながります。

私も臨床上はやる気持ちから工程を省略できないか色々試しましたがこの方法が特に根がまだ細いNo.25くらいまでは確実と感じます。

是非、お試しあれ、です。

ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。


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posted by さけいくら at 11:45 | Comment(0) | 感染根管治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月21日

感染根管治療9「根管充填材の除去B(教科書的な事と問題提起)」



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

前回は、根尖までNo.15のリーマーまで到達したところです。前回ブログ→感染根管治療8「根管充填材除去A(根尖到達の仕方)」

<前回ブログより根尖まで到達>

IMG_1559.JPG

ただ、まだ周りにGPは残っております

これらを削除していく為には、そのまま根管拡大(根管形成ともいいます)していくと良いです。

根管拡大とは、No.15→No.20→No.25・・・とファイルを太くしていき、根管を広く事です。

< No.15→No.20→No.25・・>

IMG_1562.JPG

少しずつ広くしていく事でGPも取れていくという寸法です。

なので、前回までで穿通させたら、次は根管を拡大していくこれが教科書的なところです。

<根管拡大イメージ>

OIP.jpg


しかし、なかなか実際やるとうまくいかず、No.15から拡大していくに従って、途中で(よくあるのが25号あたり)でアペックスまで到達しなくなりあれ?っとウンウン頑張ったあともう一度No.15に戻ってももうファイルが根尖まで届かなくなる現象がおきます。

最初は根尖まで届いていたのに、途中から届かなくなっちゃった問題です。

これは根詰まりステップが出来てしまう事が原因なのですが、

<根詰まりやステップ>

niti_img3.jpg

よく考えると最初はNo.15のこーんな細い通路があるだけであり、その通路を潰さず(詰まらせず)に広げていくというのは至難な事なのです。



IMG_1559.JPG

さらに、根尖の方で根が曲がっている時もあり、太い号数にすればコシが強くなり、曲がりにくくなる為太い号数にいくにしたがってステップが出来やすいのです。

<太い号数程曲がりにくい>

IMG_1566.JPG

このように考えると、根管内は見えないという環境もあり根詰まりやステップを作らず根管拡大(根管形成)を行なうというのはとても難しい事であります。

<根管拡大(根管形成)>

OIP.jpg

<根管が曲がっている時もある>

OIP.jpg

教科書にはサラッと書いてありますが、ハッキリいって上の図をみると職人技といっても過言ではありません。

おそらく、普通にNo.15が根尖までいったので、じゃあ次No.20なんてしていると必ず詰まります。

ではどうすれば良いか?

というのを次回お伝えしていきます。よろしくお願い致します。ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。



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posted by さけいくら at 09:05 | Comment(0) | 感染根管治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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