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2014年09月23日

麻酔抜髄4/10(穿通)



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

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動画:「麻酔抜髄」

では前回の続きで、今回は麻抜ステップ2「穿通」です。

穿通とは神経の入っている歯髄腔というところまで、をあける作業のことです。

<歯髄腔>

歯髄腔

やり方は、虫歯を削っていったら露髄といって、神経が見えてくることもありますが、

<露髄>

露髄

他にも、もう麻抜することが決まっていれば、いきなり最短距離で穿通させる方法もあります。

本日は、最短距離で穿通させる方法についてお話したいと思います。

穿通の際は、どこに神経があるかの当たりをつけておくことが重要です。

なぜなら、髄腔は歯の中にありますから表からは見えません。

ここを掘っていくと神経が出てくるという事がある程度分かっていなければならないのです。

<髄腔の場所>

髄腔の場所

上の写真は教科書に載っています。ここに神経がこの形である事多いので、ここを目指して穿通させるということを私達歯科医師は学校で習います。

もちろん基本的な事は抑えないといけませんが、教科書を引用すると上の写真の線の範囲でバーを突き刺して削っていき、抵抗がなくなった時が穿通した時とあります。

しかし、臨床ではそんなに簡単にいかない時もあります。

いつまで削っても抵抗がなくならない

ある程度、圧をかけないといきなり抵抗がなくなるときがわからない為、おっかなビックリ削っていくと抵抗がなくなる場所がわからない。

そもそもどの程度の深さまで削っていくものなの?

削っても削っても穿通の感覚がなく、そのまま歯に穴があいてしまった

など、人の顔が一様でないように、神経の形も人様々です。

特に、ここからは専門的な話になりますが麻抜になる症例は虫歯が大きく第二象牙質が出来ていて髄腔が狭くなっている症例が多いです。

<第二象牙質>

第二象牙質

そろそろ穿通するはずと思っても、まだ第二象牙質ということもあります。

歯医者さんは誰しも、麻抜の際、麻酔の問題もありますが、穿通させる時がプレッシャーを感じますね。

その証拠に、穿通が済むとホッとします。

そんなストレスを感じる「穿通」操作ですが、今回のブログで少しでもストレスがなくなれば幸いです。

では実際の私の穿通操作についてお話したいと思います。

今回は、大臼歯と前歯について、もう麻抜が決まっている症例を想定してお話したいと思います。

また、例によって教科書に載っていない事に焦点を当ててお話していきます。

穿通の時に使うバーはこちらです。

<小さいラウンドバー>

小さいラウンドバー

1番小さいラウンドバーを使用します。

どこから削っていくかと申しますと、

ここです。

<穿通箇所>

穿通箇所

青い点の部分から、少しバーを前後に動かしながら削り進めていきます。

前後させるストロークの範囲は1ミリ未満でほんの少しです。理由はまあこの方が早く削れるからです。

エナメル質を貫通すると、象牙質になり、途端に柔らかくなります。

そういった硬さを感じながら掘り進めていきます。

そして、柔らかかった象牙質がいきなり少し硬くなった

となったら注意が必要です。

第二象牙質に当たりました。

<第二象牙質>

第二象牙質

つまり髄腔が狭くなっている可能性があるので、そこから慎重に削っていきます。

さて、ある程度削ったのにまだ穿通しません。

どの変でおかしいな、場所が違ったか?デンタルレントゲンを撮ってみようかな?というと、

ここです。

<天蓋の位置はほとんどの場合、歯頸部付近にある>

天蓋の位置はほとんどの場合、歯頸部付近にある

実は髄腔の天井部分を天蓋といいますが、天蓋の位置はほとんどの場合、歯頸部つまり‘ここ’にあります。

みなさん知っておりましたでしょうか?

私は恥ずかしながら、卒業1年目の時、知りませんでした。

教科書の上から(咬合面)みた髄腔の位置は知っていましたが、三次元的な深さの目安は知りませんでした。

ある時、専門書を探しまくって見つけた次第です。おそらく、少し個人差があるので教科書に載っていなかったのかもしれません。

しかし、実はこの事を知ってから途端に穿通が恐くなくなりました。

なぜなら、どこから注意が必要なのか自分の中で線引きが出来たからです。

図書館でその記述を読んだ時は、見えない中、手探りで探していたところに光が刺した感じでした。

実は今回のブログで一番お話したかった事はこの事です。

知らなかった方は、天蓋の位置は歯頸部付近にあるということを念頭に置いていただけるといいと思います。

さて、そこまで削っても穿通しない場合はデンタルレントゲン写真を撮影します。

削った場所がレントゲンにも映るので、あとどの位で穿通するか、削っている方向はあっているか、などがわかります。

また、前歯の場合も簡単に思えて、捻転している歯などは注意が必要です。削っていく方向を間違ってしまいやすいからです。

<捻転歯>

捻転歯

前歯は横から見るとこんなふうな神経の形をしています。

<前歯横から断面図>

前歯横から断面図

大抵の場合、このようにバーをたてて掘り進めていくかと思いますが、方向を間違うとパーフォレーション、つまりあらぬ方向に歯に穴があいてしまいます。

<バーをたてて掘る>間違い

バーをたてて掘る

正解はこうです。

<バーを少し倒し気味にする>正解

バーを少し倒し気味にする

少しバーを倒し気味に掘り進めていき、狙うのは、この部分です。

<穿通させる箇所>

穿通させる箇所

こうすることによって、方向の見誤りがなくなります。

なぜなら歯は見えていますので、歯が傾いていようと、捻転していようと、歯の真ん中から前面の角度に直角にバーを進めていけば、方向を見誤る事はありません。

<切縁の向きに90度に 矢印の方向に削る>

切縁の向きに90度に 矢印の方向に削る

逆に、バーを立てて掘り進めていくと、前歯は先細りの形をしているので、穿通させる的は狭くなりますし、前歯が捻転(捻れている)・傾斜(傾いて生えている)などの時は目測を誤る時があります。

それに比べ、先ほどお話した方法であると安心ですね。

そして髄腔があると思った位置にない時は一旦そのまま削るのをやめてレントゲン(デンタル)を撮りましょう。

これでパーフォレーションはなくなると思いますし、穿通ストレスも軽減すると思います

ここまでお読みいただきありがとうございました。
タグ:穿通 抜髄 歯科

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posted by さけいくら at 11:46 | Comment(0) | 麻酔抜髄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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