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2014年08月25日

麻酔抜髄3/10(麻酔)



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

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動画:インターネット歯医者さん〜実践編〜目次「患者さん」参照


前回、麻酔抜髄のステップについてお話しまして、今回はステップ1麻酔についてお話したいと思います。

なおここから麻酔抜髄を略して麻抜と言い換えます。

麻酔の基本操作については、痛くない麻酔をお読みいただければと思います。

「痛くない麻酔」は基本編となりまして、麻抜が必要な症例は痛みが強過ぎて、通常の麻酔では効かない事があります。

そんな時はどうしましょうか?

伝達麻酔?歯根膜注射?

などが歯科医師であれば、頭をよぎると思います。

私ももちろん伝達麻酔は最終的にする時もありますが

まずは、通常麻酔で効かなかった場合は、歯根膜注射をします。

下記に伝達麻酔歯根膜注射の写真を載せます。

<伝達麻酔>

伝達麻酔

<歯根膜注射>

歯根膜注射


まずは歯根膜注射を行う理由ですが伝達麻酔の方がリスクが高いと感じるからです。起こることはまれでありますが、大学病院にて麻酔抜髄の際に伝達麻酔を行った際に下顎神経麻痺が残った方が、当院にいらっしゃいました。

また伝達麻酔の方が、麻酔針を入れる深さが深い為、患者さんの恐怖心は強くなる傾向にあります。

そして、歯根膜注射を確実に行えれば、大抵の場合で麻酔は効きますので、私はですが、まずは歯根膜注射から行うようにしております。

歯根膜注射の行い方については、以前読者の方からご質問をいただきインターネット歯医者さん〜実践編〜の質問コーナーにまとめましたので、そちらもご参考ください。

麻酔が効かない。伝達麻酔をするときの基準は?

さて、ここまでは教科書的な事なのですが、

では、こんな事はご存知でしょうか?というのが、今回のブログの主旨となります。

麻酔の中級編になりますが、‘骨孔’を見つけるのです。

私は卒業1年目の時に口腔外科にいました。(「貧乏だったころ」、「左利き歯医者」、「自己紹介」参照)

そこは野戦病院のようなところで、連日、痛い痛いと言っている患者さんで溢れていました。

そんな環境の中、教科書に載っていない事で、麻酔で学んだ事が二つあります。

それは、

1.痛みを感じさせるな。閾値が下がってどんどん麻酔が効かなくなるぞ

ということと、

2.骨孔に打て

の二つです。

まず、痛みを感じるのは神経ですが、神経の特性としてある一定の刺激までは反応せず、ある一定以上の刺激に対して反応するという特性があります。

そのある一定の刺激というのを閾値と呼びます。

痛みという神経の反応は、閾値以下の刺激には反応しません。閾値以上の刺激に対して反応します

これを全か無かの法則と言いますが、神経細胞とはそういった性質を持っています。

つまり、閾値が高ければ鈍感。閾値が低ければ敏感。となります。

麻抜を要する場合は、歯に触っただけで痛いという敏感さになっていることが多いです。

つまり閾値が下がっているのですね。

神経は刺激を与えるとさらに敏感になる性質もあります。これを神経が亢進するという言い方をします。

なのでさらに痛みを与えると、ますます閾値が下がります

ですから、出来るだけ麻酔は一発で決めるべきなのです。

大抵は通常麻酔を打って→削ってみて痛い、なのでまた麻酔を打って→まだ痛い、となったら

途端に麻酔を効かすのが難しくなります。

そして、患者さんの苦痛と不信感は増します。

なので、麻酔失敗は一回からニ回までにした方がいいと思います。

私は覚えている範囲でここ数年で、二回以上麻酔失敗はないと思います。

では実際の私の麻酔をご紹介します。

まず麻酔を打って、削り始めて麻酔が効いていなかったらこれで麻酔失敗一回です。

次はなるべく失敗したくないですね。

ここで私は歯根膜注射を行います。

<歯根膜注射>

歯根膜注射

ここまでは通常だと思いますが、ここから少し特殊じゃないかなと思うのです。

まず次削り始めて、また痛いとなったら良くないので、

歯根膜注射後に、探針でう窩をゆっくりグゥっと刺してみます痛みを感じなければそれで削り始めますが、少しでも患者さんが感じる場合は、

骨孔に打ちます。

骨孔とは骨にポツポツあいている穴です。

<骨孔>

骨孔

時々、麻酔の針の刺入角度を90度近くで刺した時、骨に当たった後ズブズブっと入る時はありませんか?

あれは、たまたま骨孔に針が当たり、そのまま骨の中にズブズブっと針が入った状態なのです。

骨の中に針が入っているため、そのまま麻酔液を注入すれば、ガンガンに効きます。

ただ、骨の中に針を入れますので、ばい菌などが入らないように、そして、針の先も鋭端な方がいいので、やるのは出来れば針を変えて、述野を消毒してからがいいと思います。また、骨の中にも神経がありますし、深く入れ過ぎないように注意なさってください。深く入れなくとも効きます。

とても効果がありますので、麻酔が効きづらい時はぜひ試してみてください。


そして、麻酔は必ず効かせなければなりません。なぜなら、麻酔が効いていないと処置ができないからです。

そして、処置ができないと患者さんは今日も眠れない夜を過ごすことになるのです。

ですから、何が何でも効かせなければなりません。

しかも、たくさん患者さんが待っている中麻抜じたいにも時間がかかるわけですから、

速やかに確実に、麻酔を効かせる必要があります。

その方法として、通常の麻酔法に加えて、

・歯根膜注射

・伝達麻酔

・骨孔に打つ


ということを覚えていただければと思います。

骨孔への打ち方は、麻酔針の刺入角度を90度にし、ゆっくり刺していきます。そのまま、骨に当たったら少しだけ力を入れて押します。入っていけば、当たりです。入らなければ何度か繰り返します

だめなら、伝達麻酔にしますが、上記のCT画像を見ていただくとわかるように、骨孔はたくさんあります。

結構な確率で入ります。麻酔が効かない時は是非お試しあれです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
タグ:麻酔 骨孔

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posted by さけいくら at 16:54 | Comment(0) | 麻酔抜髄 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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