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2020年10月28日

感染根管治療10「根管充填材の除去C (根管形成の仕方)」

こんにちは、水道橋クリスタル歯科院長・歯科医師・歯学博士・大学病院保存科非常勤講師・インプラント学会専修医の小栗卓也です。

この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

今回のブログはブログに連動した動画も撮影致しました。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管形成」

ご参考になさっていただければと思います。



前回、根管形成の概要と難しさについて書きました。

前回ブログ感染根管治療9「根管充填材の除去B(教科書的な事と問題提起)」

前回、職人技であると書きましたが、根管の中は見えませんし、拡大鏡を使ったところで、どうやっても断面的に見ることは出来ません。

なので、

三次元的に考えながら想像しながら、根管治療を行うと、根管治療が上手くなる。と昔先輩に言われたことがあります。

<三次元的に考える>

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今回は、見えない根管を三次元的に考え、ではどう対応していくのかということを念頭に書いていきたいと思います。

よろしくお願い致します。


まず、根管がまっすぐであれば、そう苦労はないのですが、歯というのは生体であり

厳密には機械のように完全にまっすぐな根管は存在しません

<本来の根管を染色した写真>

img-root002.jpg

良くあるのが、本来の根管の方向と違う方向に力をかけてしまい、ステップを作ってしまうということです。

<違う方向に力をかけてしまい、ステップを作ってしまう>

niti_img3.jpg

こうならないようにするため、あまり力をかけたり、ファイルを回転させたりせず、細いファイルから順番に入れていくというのが教科書的なことなのですが、

<あまり力をかけない。ねじらない>

230_section01_img02.jpg

もうひとつテクニックをお伝え致します

それは、

ファイリング操作の際に、壁に当たる度に、指をファイルから離すということです。

<こまめにファイルから指を離す>

IMG_1691.JPG

こうすることにより、三次元的に何が起こるかと申しますと

指を離す、ということにより、間違った方向に向く力がなくなり、ファイルが本来の根管の方向に向くのです。

<指を離すことにより、間違った方向への力が抜け、本来の根管の方向にファイルが向き直る>

IMG_1692.JPG

IMG_1691.JPG

こちらは、動画撮影も行なっている為、参考にしてみてください。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管形成」

あまり力をかけずファイルの回転は4分の1回転まで少し押したら、ファイルから指を離しファイルが向き直ったら、その方向にまた少し押すといった具合です。

これが、基本的なファイル操作となりますので、このあと根管拡大(根管形成)について書いていきますが、すべてこのファイル操作で行ってみてください

では次に、根管拡大(根管形成)について書いていきます。

こちらは麻酔抜髄後の根管形成も同じです。

といいますか、想定としましては麻酔抜髄後の根管形成の方が拡大していくのが歯質であり、柔らかいGPよりも難しい為、そちらを想定しております。

まだまっさらな状態の麻酔抜髄時の根管形成が出来れば、すでに一度根管形成されて柔らかいGPが詰まっているだけの感染根管治療時の根管形成は容易に出来るようになります。

やり方はあくまで私のやり方ですが試行錯誤の末たどり着いた私の根管拡大ルールなので、是非ご参考になさってください。

まず、なんでつまるんだろう?と三次元的に考えた時に、

まず、ファイルの形を思い浮かべてみましょう。

<ファイルの形>

8FA495i8ECA905E_H83t834083C838B02.jpg

断面は、ギザギザしているのがわかるかと思います。

そうすると・・

下の図を見てみてください。

<NO.15 一回目の根管の様子>

IMG_1699.JPG

上の図はおそらくNo.15をやっとAPEXまで到達させた直後の根尖の様子かと思います。

この状態と比べてNo.15でAPEXまで入れて引く→ No.15でAPEXまで入れて引く→ No.15でAPEXまで入れて引く三回行なった時の状態は下の図のようになっていると思われます。

<No.15三回目の根管の様子>

IMG_1698.JPG


次に少し太いNo.20号を入れて根管拡大をしていくわけですが、どちらがNo.20号が入りやすいと思いますでしょうか?

<No.15三回目の根管の様子>の方が入りやすいように感じていただけたら私の拙い絵も報われます。

<NO.15号をAPEXまで入れた後引き抜き、入れた後引き抜きと三回やった後の方が、次の少し太いNo.20号が入りやすい>


IMG_1698.JPG

つまり、

ギザギザがなくなった状態で次の号数へ持ち変えるのです。

ギザギザがなくなった状態は目には見えませんから、感覚な訳なのですが、No.15をアペックスまで到達させた後引き抜く際に、その時抵抗があるかないかです。

<抵抗があればギザギザが残っている。抵抗がなければギザギザがなくなってスムースになっている>

IMG_1700.JPG

だいたい何回かやっていくうちに抵抗がなくなり三回目くらいにほとんど抵抗を感じなくなります

この状態で少し太い次の号数へ行きます

ギザギザが残っている状態で次の号数へいくと、そのギザギザが根詰まりの原因となりますので注意です。

<ギザギザが削片となり根詰まりを起こす>

IMG_1703.JPG

これが基本的な考え方になります。

私はこの事に気づいた時、教科書にはギザギザが書いてなかったんだなあ(自分の勉強不足かもしれませんが)と思いました。

ギザギザがない状態であれば、次の号数で拡大できるように、ファイルのサイズというのは企画されていますのでご安心ください

そして、

次の号数のNo.20へ持ち替えて根管拡大(形成)を進めるわけですが、ここで一つのルールを提示させていただきます。

それは、

根管拡大(形成)ルール:「一回でAPEXまで行かなくても良い、しかし二回目には行かなければならない。二回でいかなかった場合、三回目を行なってはならない。」

という事です。

私の自分ルールですが、お試し頂けたらと思います。

まず、物理的に、いくらNo.15でスムースな形態になっているとはいえ、No.20はそれより太いわけなので、一回で入るはずがありません

しかし色々試しましたが、きちんと前の号数の根管形成がなされていれば二回目には必ず入ります

そのように、ファイルの号数は規格されていますのでご安心ください。

しかし二回目に入らない場合に三回目をやったり上部を広げようとさらに次の号数に行ったりするとアウトです。それで詰まる事が多いです。

なので、次の号数へ行った際に二回目が入らなかった場合はまだギザギザが残っているかもと、また前の号数に戻る事がポイントになります。

ルールを図示しますので、参考にしてみてください。

1.<No.15号を3回。抵抗なく引き抜けるようになったら>



2.<No.20号へ持ち替え、2回やってもAPEXまで到達しないとなったら>




3.<No.15をさらに3回>



4.<No.20でAPEXまで到達>



5.<No.20で3回。抵抗なく引き抜けるようになったら>




6.<No.25へ持ち替え、2回やってもAPEXまで到達しないとなったら>



7.<No.20でさらに3回>




8.<No.25でAPEXまで到達>



といった感じです。

こちらも動画を撮影しましたので、ご参考になさってください。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管形成」



私のやり方が絶対ベストというわけではないのですが、私はこのやり方で根管形成を行えてはいます

さて、

ここで追加ルールを追記致します。

一回手順を戻り、前の号数で三回程行なったあと、元の号数に戻り行なうとアペックスまで到達する事が出来ると上記には書いてありますが、

到達しなかった場合はどうでしょうか?

追加ルール:「その場合は、もう一度前の号数に戻るのですが、前の号数で三回行なったあと、Hファイルで一回か二回行います。」

<次の号数に行く前にHファイルを挟む>

8FA495i8ECA905E_H83t834083C838B02.jpg

要は固い根管の場合なかなかギザギザが取りきれない事があり、先の方法ではAPEXまで到達出来ないケースがあります

その場合は、もう少しギザギザをとりスムースにする為に通常の過程にHファイルを加えます

これでほぼ確実に次の号数でもアペックスへ到達させる事が出来ます

是非、お試しあれ、です。

ただ、まだ根管内が細いうちにHファイルを使用すると破折のリスクが増える為、使用には注意なさってください(絶対にHファイルを回転させないこと)。

これにて、麻酔抜髄時でも感染根管治療時でも根管拡大(根管形成)出来ると思います。

今回お話ししました

1.基本ファイル操作
2.根管拡大(根管形成)ルール
3.根管拡大(根管形成)追加ルール

を守ってお試し下さい。

私は根が湾曲している時は、No.25からニッケルチタンファイル(手用)を使用しますが、やり方は同じです。

いって戻っては面倒に感じますが、逆に、根詰まりを起こしたりした後の方が面倒になります。

ルールを作って行うと処置にかかる時間を規定する事にもつながります。

私も臨床上はやる気持ちから工程を省略できないか色々試しましたがこの方法が特に根がまだ細いNo.25くらいまでは確実と感じます。

是非、お試しあれ、です。

ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。


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posted by さけいくら at 11:45 | Comment(0) | 感染根管治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月21日

感染根管治療9「根管充填材の除去B(教科書的な事と問題提起)」

こんにちは、水道橋クリスタル歯科院長・歯科医師・歯学博士・大学病院保存科非常勤講師・インプラント学会専修医の小栗卓也です。

この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

前回は、根尖までNo.15のリーマーまで到達したところです。前回ブログ→感染根管治療8「根管充填材除去A(根尖到達の仕方)」

<前回ブログより根尖まで到達>

IMG_1559.JPG

ただ、まだ周りにGPは残っております

これらを削除していく為には、そのまま根管拡大(根管形成ともいいます)していくと良いです。

根管拡大とは、No.15→No.20→No.25・・・とファイルを太くしていき、根管を広く事です。

< No.15→No.20→No.25・・>

IMG_1562.JPG

少しずつ広くしていく事でGPも取れていくという寸法です。

なので、前回までで穿通させたら、次は根管を拡大していくこれが教科書的なところです。

<根管拡大イメージ>

OIP.jpg


しかし、なかなか実際やるとうまくいかず、No.15から拡大していくに従って、途中で(よくあるのが25号あたり)でアペックスまで到達しなくなりあれ?っとウンウン頑張ったあともう一度No.15に戻ってももうファイルが根尖まで届かなくなる現象がおきます。

最初は根尖まで届いていたのに、途中から届かなくなっちゃった問題です。

これは根詰まりステップが出来てしまう事が原因なのですが、

<根詰まりやステップ>

niti_img3.jpg

よく考えると最初はNo.15のこーんな細い通路があるだけであり、その通路を潰さず(詰まらせず)に広げていくというのは至難な事なのです。



IMG_1559.JPG

さらに、根尖の方で根が曲がっている時もあり、太い号数にすればコシが強くなり、曲がりにくくなる為太い号数にいくにしたがってステップが出来やすいのです。

<太い号数程曲がりにくい>

IMG_1566.JPG

このように考えると、根管内は見えないという環境もあり根詰まりやステップを作らず根管拡大(根管形成)を行なうというのはとても難しい事であります。

<根管拡大(根管形成)>

OIP.jpg

<根管が曲がっている時もある>

OIP.jpg

教科書にはサラッと書いてありますが、ハッキリいって上の図をみると職人技といっても過言ではありません。

おそらく、普通にNo.15が根尖までいったので、じゃあ次No.20なんてしていると必ず詰まります。

ではどうすれば良いか?

というのを次回お伝えしていきます。よろしくお願い致します。ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。



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posted by さけいくら at 09:05 | Comment(0) | 感染根管治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月15日

感染根管治療8「根管充填材除去A(根尖到達の仕方)」

こんにちは、水道橋クリスタル歯科院長・歯科医師・歯学博士・大学病院保存科非常勤講師・インプラント学会専修医の小栗卓也です。

この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

今回のブログはブログに連動した動画も撮影致しました。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管充填材除去」

ご参考になさっていただければと思います。

前回は感染根管治療の概要と難しい点についてお話ししました。

前回のブログはこちら感染根管治療7「根管充填材除去@(概要・問題提起)」

という事で、まず根管充填材を溶かすという方法が一般的であり、その液がGPソルベントと呼ばれるものです。

<GPソルベント>

IMG_1568.JPG

GPソルベントを用いて、

ここまでが教科書的なことであるのですが、実際行うとここからが難しいんですよね(汗)

GPソルベントではゆっくりと表面しか柔らかくなっていかない為、患者さんもずっとお口を開けているわけにもいかず、少ない臨床時間では効率的に根管充填材(GP:ガッターパーチャ)を溶かす必要があるのです

その方法をお伝え致します。

それは、

@.No.25のリーマー(ファイルではありません)に綿栓を巻きつけ

<No.25のリーマー(短い方)に綿栓を巻き付ける>

IMG_1532.JPG



A.GPソルベントをたっぷり湿らせた状態で、

<GPソルベントをたっぷり湿らせる>

IMG_1533.JPG



B.根尖まであと少しというところまで進めた後、(目安で結構です)

<根尖まであと少しというところまで進める>

IMG_1536.JPG

IMG_1554.JPG



C.根管長測定メーターを装着して、最低3のメモリまでは到達しているところを確認する(3のメモリまで行っていなかったら、Bの工程に戻ります)。

<最低3のメモリまで綿栓を巻きつけたNo.25リーマーで進む>

IMG_1547.JPG

IMG_1543.JPG



D.No.15のリーマー(綿栓は巻かない)に持ち替えて、根管長測定メーターを装着したまま、APEX(作業長)へ到達させる



IMG_1545.JPG

IMG_1559.JPG

IMG_1548.JPG

IMG_1539.JPG

これにて#15号のリーマーを根尖(APEX)まで届かせることが出来ます

これは友人から教えてもらった方法で、私も色々な事を試しましたが、この方法が1番効率よく感じております。

注)インターネット歯医者さんでは特別な器具(この場合はエンジンリーマーなど)を用いず、教科書的ではない事に注力したテクニックをご紹介しております。

まず、GPを効率よく削除しなければと考えると刃が付いているKファイルやHファイルを使用する事が頭に浮かびますし、私も実際その方法で何年も行なっておりました。

しかし、先に述べたGP除去中の器具の破折やステップの形成は、器具に刃がついている方が起こりやすいのです。

<刃がついているのはダメ>

Product_Profile_Mani_fig1-4.jpg

<刃がかんでしまい、破折やステップが起きやすい>

niti_img3.jpg

考えてみますと、まずは器具を根尖まで到達させることが出来れば良いので
根管形成をするための刃はGPが効率良く溶かせれば必要ないのではないかということです。

リーマーのようにネジが巻いているだけで刃が付いていない形態の方が、根管充填材に'かまない’ので貫通力があります。

そして、歯科医師の先生方はお分かりかと思いますが、感染根管治療はすでに根管充填が済んでいる状態であり、その前段階の根管拡大は終わっております。

皆様、麻酔抜髄後、根管拡大を何号まで行なってから、根管充填を行いますでしょうか?

最低No.30号かと思います。

<#30号(青)までは拡大されていることが多い>

IMG_1562.JPG

そうなると、No.25(赤)のリーマーを使用する理由も説明がつくかと思います。

No.15号(白)やNo.20号(黄色)では細すぎてコシがないため、なかなか貫通力に劣ります

No.30号(青)ですと、コシはあるのですが、根管の壁面に当たってしまい入りづらくなる時があります。

なので、ある程度コシがあり、根管の直径よりも細いNo.25(赤)が最適なのです。

さらにNo.25の短い方(21mm)のリーマーがおすすめです。

長いと、コシが弱くなり貫通力が弱くなり曲がりやすくなるからです。

<短い(21mm)リーマーの方が良い>


IMG_1546.JPG

私の中では色々試しましたが、No.25の短いリーマーがベストです。

しかも、巻きつけた綿栓は最終的に取らなければならないわけですが、リーマーの場合は刃が付いていないのでスッと取れます

<リーマーだと綿栓がスッと取れる>


IMG_1550.JPG

これは結構大事で、処置中何回か綿栓を巻き直す際にも重宝しますし、片付けの際にも重宝します。

<途中でこうなったら綿線を外して、新しく巻き直しましょう>


IMG_1527.JPG

KファイルやHファイルなど刃がついていると外すときに綿栓のケバケバがついてしまい、外しづらいのと掃除しずらいのと、ケバケバが感染の原因になるかもしれませんのでやはりリーマーが良い、となります。

そして、根尖近くになった場合は、根管の形態は漏斗状となり根尖付近は細くなっている為、綿栓を巻いていると、入らなくなりますし、無理やり押し込むと溶けた根管充填剤を根尖外へ押し出してしまうかもしれません

<根管の形態は漏斗状>

OIP.jpg

<綿栓を巻いていると、一回り太くなるのでは進まなくなる>


IMG_1554.JPG

<根尖外にガッタパーチャ(GP)を押し出すと大変>

IMG_1555.JPG

なので、途中まで(メーターの3のメモリまで)No.25で行い、

最後到達させるのは、細いNo.15というわけです。

そして、この時もNo.15の“リーマー”を使いましょう。

<#15のリーマー(長い方でも良い)>


IMG_1560.JPG

ここまでくる間にかなり根管充填剤もかなり軟化しております

なので、刃がなくても大丈夫です。

是非削るのではなく、W貫通Wさせるというのを念頭に行なってみて下さい。

動画インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管充填材除去」

是非、お試しあれです。

ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。




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posted by さけいくら at 11:58 | Comment(0) | 感染根管治療 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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