この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。
心よりお礼申し上げます。
今回のブログはブログに連動した動画も撮影致しました。
動画→インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管形成」
ご参考になさっていただければと思います。
前回、根管形成の概要と難しさについて書きました。
前回ブログ→感染根管治療9「根管充填材の除去B(教科書的な事と問題提起)」
前回、職人技であると書きましたが、根管の中は見えませんし、拡大鏡を使ったところで、どうやっても断面的に見ることは出来ません。
なので、
三次元的に考えながら、想像しながら、根管治療を行うと、根管治療が上手くなる。と昔先輩に言われたことがあります。
<三次元的に考える>
今回は、見えない根管を三次元的に考え、ではどう対応していくのかということを念頭に書いていきたいと思います。
よろしくお願い致します。
まず、根管がまっすぐであれば、そう苦労はないのですが、歯というのは生体であり、
厳密には機械のように完全にまっすぐな根管は存在しません。
<本来の根管を染色した写真>
良くあるのが、本来の根管の方向と違う方向に力をかけてしまい、ステップを作ってしまうということです。
<違う方向に力をかけてしまい、ステップを作ってしまう>
こうならないようにするため、あまり力をかけたり、ファイルを回転させたりせず、細いファイルから順番に入れていくというのが教科書的なことなのですが、
<あまり力をかけない。ねじらない>
もうひとつテクニックをお伝え致します。
それは、
ファイリング操作の際に、壁に当たる度に、指をファイルから離すということです。
<こまめにファイルから指を離す>
こうすることにより、三次元的に何が起こるかと申しますと、
指を離す、ということにより、間違った方向に向く力がなくなり、ファイルが本来の根管の方向に向くのです。
<指を離すことにより、間違った方向への力が抜け、本来の根管の方向にファイルが向き直る>
↓
こちらは、動画撮影も行なっている為、参考にしてみてください。
動画→インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管形成」
あまり力をかけず、ファイルの回転は4分の1回転まで、少し押したら、ファイルから指を離し、ファイルが向き直ったら、その方向にまた少し押すといった具合です。
これが、基本的なファイル操作となりますので、このあと根管拡大(根管形成)について書いていきますが、すべてこのファイル操作で行ってみてください。
では次に、根管拡大(根管形成)について書いていきます。
こちらは麻酔抜髄後の根管形成も同じです。
といいますか、想定としましては麻酔抜髄後の根管形成の方が拡大していくのが歯質であり、柔らかいGPよりも難しい為、そちらを想定しております。
まだまっさらな状態の麻酔抜髄時の根管形成が出来れば、すでに一度根管形成されて柔らかいGPが詰まっているだけの感染根管治療時の根管形成は容易に出来るようになります。
やり方はあくまで私のやり方ですが試行錯誤の末たどり着いた私の根管拡大ルールなので、是非ご参考になさってください。
まず、なんでつまるんだろう?と三次元的に考えた時に、
まず、ファイルの形を思い浮かべてみましょう。
<ファイルの形>
断面は、ギザギザしているのがわかるかと思います。
そうすると・・
下の図を見てみてください。
<NO.15 一回目の根管の様子>
上の図はおそらくNo.15をやっとAPEXまで到達させた直後の根尖の様子かと思います。
この状態と比べてNo.15でAPEXまで入れて引く→ No.15でAPEXまで入れて引く→ No.15でAPEXまで入れて引くと三回行なった時の状態は下の図のようになっていると思われます。
<No.15三回目の根管の様子>
次に少し太いNo.20号を入れて根管拡大をしていくわけですが、どちらがNo.20号が入りやすいと思いますでしょうか?
<No.15三回目の根管の様子>の方が入りやすいように感じていただけたら私の拙い絵も報われます。
<NO.15号をAPEXまで入れた後引き抜き、入れた後引き抜きと三回やった後の方が、次の少し太いNo.20号が入りやすい>
つまり、
ギザギザがなくなった状態で次の号数へ持ち変えるのです。
ギザギザがなくなった状態は目には見えませんから、感覚な訳なのですが、No.15をアペックスまで到達させた後引き抜く際に、その時抵抗があるかないかです。
<抵抗があればギザギザが残っている。抵抗がなければギザギザがなくなってスムースになっている>
だいたい何回かやっていくうちに抵抗がなくなり、三回目くらいにほとんど抵抗を感じなくなります。
この状態で少し太い次の号数へ行きます。
ギザギザが残っている状態で次の号数へいくと、そのギザギザが根詰まりの原因となりますので注意です。
<ギザギザが削片となり根詰まりを起こす>
これが基本的な考え方になります。
私はこの事に気づいた時、教科書にはギザギザが書いてなかったんだなあ(自分の勉強不足かもしれませんが)と思いました。
ギザギザがない状態であれば、次の号数で拡大できるように、ファイルのサイズというのは企画されていますのでご安心ください。
そして、
次の号数のNo.20へ持ち替えて根管拡大(形成)を進めるわけですが、ここで一つのルールを提示させていただきます。
それは、
根管拡大(形成)ルール:「一回でAPEXまで行かなくても良い、しかし二回目には行かなければならない。二回でいかなかった場合、三回目を行なってはならない。」
という事です。
私の自分ルールですが、お試し頂けたらと思います。
まず、物理的に、いくらNo.15でスムースな形態になっているとはいえ、No.20はそれより太いわけなので、一回で入るはずがありません。
しかし色々試しましたが、きちんと前の号数の根管形成がなされていれば二回目には必ず入ります。
そのように、ファイルの号数は規格されていますのでご安心ください。
しかし二回目に入らない場合に三回目をやったり上部を広げようとさらに次の号数に行ったりすると、アウトです。それで詰まる事が多いです。
なので、次の号数へ行った際に二回目が入らなかった場合は、まだギザギザが残っているかもと、また前の号数に戻る事がポイントになります。
ルールを図示しますので、参考にしてみてください。
1.<No.15号を3回。抵抗なく引き抜けるようになったら>
↓
2.<No.20号へ持ち替え、2回やってもAPEXまで到達しないとなったら>
↓
3.<No.15をさらに3回>
↓
4.<No.20でAPEXまで到達>
↓
5.<No.20で3回。抵抗なく引き抜けるようになったら>
↓
6.<No.25へ持ち替え、2回やってもAPEXまで到達しないとなったら>
↓
7.<No.20でさらに3回>
↓
8.<No.25でAPEXまで到達>
といった感じです。
こちらも動画を撮影しましたので、ご参考になさってください。
動画→インターネット歯医者さん〜実践編〜「根管形成」
私のやり方が絶対ベストというわけではないのですが、私はこのやり方で根管形成を行えてはいます。
さて、
ここで追加ルールを追記致します。
一回手順を戻り、前の号数で三回程行なったあと、元の号数に戻り行なうとアペックスまで到達する事が出来ると上記には書いてありますが、
到達しなかった場合はどうでしょうか?
追加ルール:「その場合は、もう一度前の号数に戻るのですが、前の号数で三回行なったあと、Hファイルで一回か二回行います。」
<次の号数に行く前にHファイルを挟む>
要は固い根管の場合はなかなかギザギザが取りきれない事があり、先の方法ではAPEXまで到達出来ないケースがあります。
その場合は、もう少しギザギザをとりスムースにする為に通常の過程にHファイルを加えます。
これでほぼ確実に次の号数でもアペックスへ到達させる事が出来ます。
是非、お試しあれ、です。
ただ、まだ根管内が細いうちにHファイルを使用すると破折のリスクが増える為、使用には注意なさってください(絶対にHファイルを回転させないこと)。
これにて、麻酔抜髄時でも感染根管治療時でも根管拡大(根管形成)出来ると思います。
今回お話ししました、
1.基本ファイル操作
2.根管拡大(根管形成)ルール
3.根管拡大(根管形成)追加ルール
を守ってお試し下さい。
私は根が湾曲している時は、No.25からニッケルチタンファイル(手用)を使用しますが、やり方は同じです。
いって戻っては面倒に感じますが、逆に、根詰まりを起こしたりした後の方が面倒になります。
ルールを作って行うと処置にかかる時間を規定する事にもつながります。
私も臨床上はやる気持ちから工程を省略できないか色々試しましたが、この方法が特に根がまだ細いNo.25くらいまでは確実と感じます。
是非、お試しあれ、です。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
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