この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。
心よりお礼申し上げます。
最近はイベント続きで、更新が出来ていませんでしたが、
現在下の症例の患者説明・コミュニケーションについて記事を書いております。
<例題症例>
歯科医の先生であれば、おわかりかと思いますが、左下6番は、要抜歯と言えると思います。
前回は、抜歯の説明をする導入部分で、その患者さんの心持ちをはかる‘魔法の言葉’について書かせていただきました。
その魔法の言葉を使い、患者さんの心情を二つのパターンに分け、患者説明・コミュニケーションをしていくという記事を書かせていただきました。
そして、次の記事で注意点を書くとお話して、今回の記事に至ります。
ではよろしくお願い致します。
さて、‘魔法の言葉’を使い患者さんの反応を伺っていくと、、
大きく二つのパターンに別れるのでした。
今回はその後の対応や患者説明・コミュニケーションです。
<魔法の言葉で、患者さんの心情を二つのパターンに分ける>

「じゃあ先生、抜いちゃって下さい」
となることも多いですし、
「次痛くなったら抜く事にします」
という方もいらっしゃいます。
ここで注意点ですが、
「抜いちゃって下さい」と仰る患者さんでもその日は抜きません。
「どうしても抜いて下さい」と懇願されればその日に抜歯をすることもありますが、
私は、その日に抜いた事によって後ほどトラブルになるケースを何度か見ていますので、
その日に抜歯するのは、出来るだけ避けた方が良いというのが見解です。
<即日抜歯は、“出来るだけ”避ける>

まず教科書的な事からお話しします。
たいていの場合は、その日は消炎処置と投薬をして痛みを引かせてから、次回抜歯を致します。
教科書的にもそうですよね。
痛い時に抜歯をするとその後、さらに痛くなることもあるからです。
さらに麻酔も効かないし、出血も止まり辛いです。
高血圧の患者さんなど、麻酔が効かないと血圧が上がり危険な事もありますね。
なので、その日は教科書通り、消炎処置・投薬が基本です。
<即日は消炎処置と投薬が基本>

そしてここからが教科書的ではないことです。
ただ、痛みが引かず、さらに強くなる場合だってあります。
その時は、やはり次回のアポイントを待たず、抜歯をします。
その旨は、初回にて患者さんへお伝えして、
「痛みが収まらない、もしくは強くなってきたら、御連絡下さい。」
「急患で、いつでも拝見しますからね。」
「その際は、薬は飲み切っていないが、飲んでいる状態ではあるので、薬は効いてくる為、今よりましですから」
などをお話し、
「え?抜いてくれないの?」「今日痛くなったらどうしよう」
と思われている患者さんを出来るだけ安心させる言葉をかけましょう。
そうしないと、痛くなってきた際に、
やっぱり痛くなった、あの時抜いてくれなかったからだとなってしまいます。
なので、
この場合は、そのようなお声かけをしておくのも、大事な患者説明・コミュニケーションと考えます。
また、次回のアポイントを待たずに抜歯をするというのは、
教科書的には、
前投薬は済んではいない、リスクはあるが、緊急性があるという判断です。
<緊急性がある>

さて、
そんなに言うなら(結局教科書を逸脱するのなら)抜いてあげればいいのに、と私も書きながら思いますし、読まれている方も思ったかと思います。
実際、さらに痛くなってから抜くのは処置も大変になりますし、リスクも増えます。
しかし、ここで忘れてはならないのが、9割以上の方は、適切な消炎処置と投薬にて、痛みはなくなるということも考慮に入れた上で、判断をしなければならないということです。
そして、もちろん痛い時に抜いて、さらに痛くなることも同時に考慮に入れなければなりません。
未来の事は、誰にもわかりませんので、
その処置をする時に、何を考えて、その処置をしたかという、
‘思考’が大事なのです。→医療者の思考
<未来のことはわからないが、何を考え判断するかが大事>

今回の記事も、同じくお考えいただければと思います。
つまり、出来るだけその日に抜歯しないという考えを上記に書きましたが、
それが絶対合ってるといっているわけではありません。
一応今のところ抜歯でトラブルになったことがない、私の経験の上での一つの考え、
として‘出来るだけ即日抜歯は避ける’と捉えていただければと思います。
そして
もう一つ思い出していただきたい事がありまして、、
私は前回の説明より、
痛いから抜くとは言わなかったですね。
痛みは下げれても、残しておくと良くない事が起こるので抜歯をしましょう。
でした。
ここからの文章は、私の私見もだいぶ入りますが、
実は、ここには明確な違いがあります。
<明確な違い>

痛いから抜くは、やはりやめた方が良いというのが私の考えです。
なぜなら、痛みは、大抵一週間以内に下げる事が出来ますし、抜歯したってそのくらいの期間は痛いともいえるわけです。
そして、本当に、その場で抜いて結構トラブルになっている例があります。
喉元過ぎれば・・ということわざがありますように、
人間そんな感じで、あまり一時の事に反応して、事を起こす(必要がある時もあります)とろくな事にならないものなのかな、と思います。
そして、大事な事は、
痛みが引いたあと、患者さんが抜歯日に来院されれば、それは抜歯に納得しているということです。
<納得しているという事が大事>

心おきなく抜歯出来ますし、トラブルも起こりづらいと思います。
このように、即日抜歯をしないで、次回抜歯予定日まで、間を取る→患者説明・コミュニケーション13「歯周病治療の患者説明、“間”をとる」という事も大事なコミュニケーションの一つだと思います。
話すでもなく、聞くでもなく、
患者さんに‘考えるお時間を与える’
ということですね。
それがないと、患者さん自身が選択したことにはならないので、コミュニケーションの上でとても大切なことだと私は思っています。
是非お試しあれ、です。
<間を取る:患者さんに考える時間を与える>

また、要抜歯の歯を患者さんの希望で、保存を試みるということに関しては、
歯科医師の中でも色々とお考えがあるかと思いますが、
私は、基本的に患者さんの身体なので、抜きたくないと言われましたら抜きません。
もしくは、抜いて下さいと言われない限り抜かないということです。
ただ、要抜歯の歯を残す場合は、そのリスクは充分にお話します。
しかし、そのリスクを許容すると現時点で仰っておられるわけですから、
痛みを受けるのも患者さんですし、無理に残して補綴した後、抜歯をすることになり、それが2年以内であった場合は保険診療は通らず、自費料金でブリッジをすることになる。
インプラントしようにも骨がなくなりそれすら出来なくなるかも。
隣の歯も痛みはじめるかも。
しかし、
それらも許容するということでしたら、医療者といえど抜歯など後から戻れない処置は出来ないという考えです。
そういった患者さんに対しても抜歯を納得させる為の患者説明・コミュニケーションを期待していた先生へは申し訳ない気持ちもありますが、
私の意見としましては、
そういった患者さんの歯は無理に抜かない方が良い、トラブルの元と思います。
また、様々な人がいるわけで、
そこまでしても残したいという人もいるということを医療者側は認識するべき、もしくは理解するべきという意見です。
<理解力とコミュニケーション能力は相関性がある>

だいぶ私的な意見が入りましたが、一つの“思考”として捉えていただければと思います。
ただ、もうダメかもと思った歯が患者さんが抜きたくないとおっしゃるので、残してみたら5年もったといった話はザラにあることでして。
それは、その思考の中、臨床を行なってきた上での事実であり、経験であると自覚しております。
しかし、今回の症例の6番は、やはり私も強く抜歯を勧めます。
それも、こういった歯を残して余計良くない事が起こった事実を知っている、という経験からのこととなります。
未来のことはわからないが、何を考えて、そのことをすると決めるのか、という‘思考’が、特に抜歯治療の場合の患者説明・コミュニケーションにおいて大事だと思うという話でした。
次回は、6番抜歯後のブリッジ治療に対しての患者説明・コミュニケーションに進みます。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
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