この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。
心よりお礼申し上げます。
今回より、下の症例を例題として、実際に私が患者さんへ説明している言葉を使いながら、患者さんへ説明をしていきたいと思います。
<例題症例>
治療する順番は、下の順番にて行っていくことにします。
<治療していく順番>
1.麻酔抜髄
2.根管治療➕基本検査1とスケーリング
3.根管治療➕スケーリング
4.根管充填
5.コア形成➕基本検査2とSRP
6.コアセット➕ブリッジ形成➕仮歯
7.ブリッジの設計を決定して、印象
8.ブリッジ仮着
9.ブリッジ本セット 治療完了
となるとします。
初日は、1からですね。初診時とも言います。
初診時、麻酔抜髄をするということは、虫歯が大きくなり、痛みが出ている場合が多いです。
それも相当な痛みであり、患者さんからしたら、そんな時に何か説明されても何も考えられないものです。
<歯が痛くて何も考えられない>
なので、説明はサラッとが基本です。しかし、伝えるべきことは、伝えなければなりません。
ただ、痛みが強く出ている患者さんへ対して、特に大事なのは、患者さんを安心させる言葉です。
私は、服薬されてる薬の併用をチェックした後、
「今痛み止めを持ってきますから、まずお飲み下さい。少しは楽になります」
といいます。薬を飲んでもすぐには効かないことは、私も知っていますが、
薬には、プラシーボ効果も多分にあります。
人は、今までの経験から薬を飲むと治る、安心と無意識に感じます。
なので、痛みがあると歯科医院に訪れる患者さんは多いですが、最初に痛み止めや抗生剤など薬を飲んでもらうのは色々な意味で効果的です。
プラシーボ効果以外にも、本当に処置が終わる頃には効いてきますし、たとえば、薬にアレルギー反応(アナフィラキシーなど)がでないか?なども院内にてわかるわけです。
さて、薬を飲んで、患者さんが少しホッとしたところに、私は口腔内全体をサッと拝見した後、
「虫歯になってますね。レントゲンで大きさを調べましょう。他にも虫歯がチラホラありますので全体のレントゲンを撮ります」
そういって、すぐにパノラマ写真を撮影してもらいます。
14枚法のデンタルを撮る先生もおられるかと思いますが、
否定はしませんが、パノラマ写真でないと
・顎関節
・上顎洞
が見えないのは確かですね。
そして、パノラマ写真ですと、
・左右どちらで噛んでいるのか
がわかりやすいです。
現在、左右どちらでより噛んでいるのか?
ということは、治療計画を立案する為に、私にとっては必須事項ですので、私は初診でパノラマ写真を撮影することが多いです。
パノラマ写真を見て、その方が左右どちら噛みかわからない人は歯科医ではない
と思っているくらいです。
と、ここまで言わなくても皆様パノラマ写真を撮る医院が多いですね。
そして、パノラマ写真撮影をして現像を待っている間に私は、
「お写真の現像を待っている間に、表面麻酔をしておきますね。」
とそのまま言って表面麻酔をしておきます。
そして、レントゲンが出来てきますね。
<パノラマレントゲン>
左下6番に大きい虫歯がありますね。
レントゲンを見ながら次のように説明していきます。是非、上の写真を見ながら読み進めていっていただければと思います。
私の実際の言葉は‘色’を変えてありますので、参考にしてくださればと思います。
「Lと書いてある方が‘レフト’で右側になります。痛いのは右下の奥から2番目のこちらの歯です。
この黒くなっている範囲が虫歯です。
また歯の真ん中にも黒く写っている箇所がありますが、こちらが歯の神経が入っている部屋です。
今のお痛みは、虫歯が深くなり、神経の部屋に虫歯が入ったのが原因です。
歯の神経には痛みを感じる神経しか入っていないので、とても痛いですよね。
よく、歯医者で神経をとるという表現をしますが、
虫歯菌で汚れてしまったら、神経をとらねばなりません。」
患者さんは、痛みで聞いているのか聞いていないのか、とにもかくにも、‘神経をとる’という表現に‘フリーズ時間’が発生します。
そこで、次の言葉です。
「すると今の痛みもなくなります。」
「当然、麻酔をしてから行ないますので、麻酔が効けば処置中は痛みはありません。」
<治療説明風景>
患者さんは一旦ホッとして、フリーズ時間が解けます。
その上で了承を得てから麻酔をしていくのです。
さて、麻酔が終わってから、次のことも説明しなければなりません。
患者さんは、ユニットを起こして、麻酔が効くのを待っている状態です。
「今日、虫歯も全部取りますからね。ただレントゲンでみると、この黒い部分を全部とりますから、歯が半分くらいの大きさになってしまいます。」
ここでまた患者さんには、‘フリーズ時間’が発生します。
そして、次の言葉です。
「しかし、最終的には、被せ物をして補っていくので、ご安心ください。」
患者さんは、またホッとして‘フリーズ時間’が解けます。
「被せ物は、保険ですと、銀歯しかありませんが、保険外で白い被せ物もあります。」
患者さんには、また‘フリーズ時間’が発生しますが、私は次の言葉を言います。
「しかし、虫歯は全て取りきらねばなりません。」(魂を込めて)
すると患者さんは、‘フリーズ時間’が解け、前を向きます。
今の状態というのは、麻酔で痛みがなくなり、これからの治療法も聞いた状態です。
この痛みの原因である、にっくき虫歯を除去したいと患者さんも思っておりますし、私も当然患者さんを苦しませる虫歯を除去したいと思っているわけです。
これが、前回お話した、‘建設的な話’をお互いにしている状態です。
2人で治療に専念する雰囲気となります。
この雰囲気になるように、患者さんのことを考えて、患者説明をすることが出来るかは、
はっきりいって医療者のコミュニケーション能力にかかっているとおもいます。
読み直してみていただければと思います。
患者さんからの、言葉は書かれていませんでしたね。
それでも治療説明は成り立っていました。
つまり、
こと治療において、医療者と患者さんとの話し合いに置いては、どうしても医療者側が主導となるということです。
お医者さんの病気に対しての見解に最初から、いやそれは違うという人はほぼいない、からです。
なので、患者説明というのは、医療者のウデと言っても過言ではないと私は思います。
医療者主導だから安心というわけでは、ありません。
それは天狗になってますね。
その逆です。
患者説明の可否は、医療者側に責任があるということです。
先生方の言葉は重いのです。
そして、どんな場合も人が人を好きになるのも、きらいになるのも、
コミュニケーション次第ですよね。
患者さんにきらわれた場合は、
開業医の場合など、患者数に如実に反映しますし、訴訟なんてことにもなりかねません。
患者さんに好かれれば、患者さん数は増えますし、患者さんからのありがとうも増えますし、人生も豊かになります。→ブログ記事「ありがとうを集めよう」
コミュニケーションの可否は、必ず
自身に返ってくるのです。
それは、片方に責任が重ければ重いほど、同じく返ってきます。
そして、責任が重い方のコミュニケーションの方が難しいのは確かです。
でもそれも仕方ありません。
なぜなら、‘先生’と呼ばれるからです。
このブログをお読みの勉強熱心な先生方は、
先生と呼ばれて、天狗になるのではなく、
先生と呼ばれるからには、それに相応しい自分でいるように努力しようと思っていただきたいと感じております。
私もいつもプレッシャーを感じながら、診療をしております。
そして、そのプレッシャーを乗り越え相手から信頼されてこそ、
人徳者、人格者、と呼ばれる人になり、先生と呼ばれるのに相応しい人になるのだと思います。
上手くいかないときもあるかもしれませんが、少なくとも歯科医として先生と言われるからには、そうある為に努力し続けなければ、と思ってこの患者説明・コミュニケーションの章もお読みいただけるとうれしく思います。
次回は、2.根管治療➕基本検査1とスケーリングの患者説明・コミュニケーションについて、記事を書きます。
と、その前に麻酔抜髄したあとの患者説明が残っておりました。
私は、下の写真のアニメーションの‘視覚効果’を使いながら、→患者説明・コミュニケーション4「必ず視覚効果を入れる」
<治療後の症状アニメーション>
「神経の処置をすると、麻酔が切れたあと疼くような感じがしますが、だんだん下がってきますので御安心下さい。もしも痛い時の為に痛み止めをお出ししますので、痛い時はお飲み下さい。」
です。この文書に‘フリーズ時間’が発生しそうな言葉と‘希望の言葉’が簡潔に述べられております。
結構気に入っている文言でして、麻酔抜髄の後、必ずと言っていいほどお話しします。
お話しするタイミングは、
最期の洗浄・貼薬・仮封する時で、処置をしながら話したりします。
そして、仮封が終わって、うがいをしてもらってから、写真のアニメーションの横の文字を(私かスタッフが)読んで、初日の麻酔抜髄完了です。
ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
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