この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。
心よりお礼申し上げます。
では今回は本丸ですね。歯周病で骨がなくなるメカニズムについて書いていきたいと思います。
前回、前々回→「歯周病6」、「http://dentmarron.seesaa.net/article/419519940.html」
炎症と免疫反応、そしてサイトカインについて書いてきました。今回はさらに専門的なお話になりまして、下記の単語が不明の場合は、上のリンクからお読みいただければと思います。
骨芽細胞
破骨細胞
リモデリング
恒常性
炎症
免疫
サイトカイン
などです。
では歯周病のメカニズムについて順を追ってお話していきます。
まず、歯磨きでの取り残しが歯に付着したままになります。
<磨き残し>
お口の中にはたくさんばい菌がいまして、その中でも虫歯菌と歯周病菌が代表的に悪さをします。
<口の中にいる細菌達>
虫歯菌は歯面に生息しています。
歯周病菌は歯と歯茎の間に生息しています。
歯と歯茎の間の事を歯肉溝といいます。
<歯肉溝>
この歯肉溝に食べカスがたまったままになるところから歯周病はスタートします。
まず、たまった食べカスはプラークというものに変わります。
<磨き残しがプラークになる>
プラークには歯周病菌がウジャウジャいると思ってください。
<プラークは細菌のかたまり>
歯周病菌は嫌気性桿菌という菌に分類され、プラークを食べたあと代謝物として毒素(リポポリサッカライド)を生成します。
歯茎の中で毒素を出しそれは、歯と歯茎をつなぐ繊維を切り、体の中に入ろうとします。
<繊維の断裂>
繊維が切れ、できる空洞を歯周ポケットといいます。
<繊維の破壊>
<歯周ポケット>
体の中にばい菌や毒素が入ったら体は困りますので、
そこで免疫の出番です。
まず炎症が起こり、免疫細胞を含む血液が集まってきます。
<歯肉炎>
<血管透過性の亢進>
血液が集まってくるので、赤く腫れてくるわけです。これを歯肉炎といいます。
<歯肉炎の見た目>
そしてこの時何が起こっているかというと
<免疫細胞達>
まずは好中球という免疫細胞の一種が集まってきます。
<好中球>
好中球には細菌を貪食する作用と貪食した事を刺激に活性酸素など殺菌物質を放出し、浄化する作用があります。
この好中球の段階で細菌の増殖が抑制されれば、炎症は局所にとどまります。
この段階を歯肉炎といいます。
<歯肉炎断面図>
歯肉炎になってもその後、きちんと歯磨きをしてプラークコントロールをすれば、炎症は消退し、元の健康な歯茎に戻ります。
歯肉炎が元に戻ると以前お話した理由はこれに当たります。
しかし、好中球では浄化出来ない場合は、ばい菌や毒素は血流にのって体中へ回っていき、後のブログで書きますが全身へ影響を及ぼします。
そして免疫は次の段階へ進んでいきます。
次に現れるのは、単球とリンパ球です。
<免疫細胞の一種である単球とリンパ球>
単球は血管から出た段階でマクロファージと名前を変えます。
<マクロファージ>
マクロファージという言葉をお聞きになったことがある方もいるかもしれませんが、
マクロファージには、貪食作用・サイトカイン放出・抗原提示という性質があります。
<ヘルパーT細胞への抗原提示>
もう少しまとめますと
毒素や細菌を食べ(貪食作用)、その食べた異物(抗原)の情報をリンパ球へ知らせる働き(抗原提示)と各種サイトカインを生成する働きがあります。
<サイトカインが各々の細胞へ働きかけ、最終的に破骨細胞分化促進>
このときに出すサイトカインが破骨細胞を活性化してしまうのです。
どうしてかといいますと、毒素やばい菌が骨に感染したら大変です。
骨とばい菌(バイオフィルム)との距離は2.5ミリに保たれております。
ばい菌の侵入を止められない場合、体は距離をおこうとします。
つまり感染層から骨を壊し遠ざけようとするのです。
<サイトカインを放出し破骨細胞を活性化>
<破骨細胞が骨を壊し食べる>
人間の体ってすごいですね。特にこの免疫機構はよく調べてみるとわかりますが、感動します。
いつもそうやって私達の体を守ってくれているのです。
体に感謝ですね。
是非とも免疫を下げないような生活を送る事をお勧めします。
そうして、免疫の凄さがわかったところで、結果として
破骨細胞が活性化されると、壊される骨が多くなります。
そして
壊される骨の量=新しく作られる骨の量
とバランス(恒常性)がとれていた状態から
壊される骨の量>新しく作られる骨の量
となり、相対的に骨がなくなっていくわけです。
これが歯周病でなんで骨がなくなるの?という疑問にたいする答えです。
いかがでしたでしょうか?
つまり歯周病菌(毒素を出す)にたいする体の免疫反応によって骨はなくなるのです。
体の免疫機能は止められないですし、止めない方がいいですね。
どこを止めるべきでしょうか?
それは、最初です。
食べカスを残したままにしないことです。
もしくは好中球で浄化出来るレベルにとどめることです。
それが歯周病の‘予防’という考え方です。
次回より、その予防について書いていきたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
追伸
免疫機構はわかりやすくする為に省略した部分もあります。
さらに、実際は免疫反応は、この次の段階に進みます。
御興味のある方は調べてみても面白いかもしれません。
免疫のシステムの全体像が腑に落ちた時、本当に感動しますよ。
是非お試しあれです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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