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2015年05月29日

歯周病6/7(なんで骨がなくなるの?4)



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。


前回は免疫反応の第一段階である「炎症」について書きました。

<炎症の断面図>

炎症の断面図

「炎症の五大徴候」から、炎症とは要は‘血’を集めている状態であると書きました。

<炎症の五大徴候>

炎症の五大徴候

なぜ、血を集めるのかというと

それは血液の中に含まれる多種多様な成分が歯周病菌の出す毒素をやっつけるのに必要だからです。

<血管透過性の亢進>

血管透過性の亢進

ここまでは前回のブログでお話しました。

そして、どうやって血を集めるの?といった事が今回のテーマです。

つまり、毒素が入ってきたとき、体はどうやって血を集めているのでしょうか?

例えば、切り傷からばい菌が入ると赤く腫れます。

つまり‘炎症’が起こりますが、頭で考えてやっているわけではありませんよね。

意識的にそこに炎症を起こそうとしてもできません。

体が勝手にやっているのです。

そういったシステムが元々体に備わっており、そのシステムを‘免疫’と呼んでいるわけです。

<免疫のイメージ>

免疫のイメージ

そのシステムですが、体が‘信号’を出す事でそのシステムは成り立っています。

つまりばい菌や毒素など‘異物’(非自己)が入ってきたり、細胞や組織が傷つくなど損傷を受けた場合などに‘炎症’が起こり、それらの問題を解決する為に‘免疫反応’が起こります。

それら問題を実際に解決するのは‘免疫細胞’と呼ばれるもの達ですが、その免疫細胞をその場所に呼んでくる為に、体は‘信号’を出します。

その信号のことを‘サイトカイン’と呼びます。

<サイトカインが各々の細胞へはたらきかける>

サイトカインが各々の細胞へはたらきかける

免疫反応は以下の順番に進んでいきます。

異物・毒素・ばい菌が体の中に入ってきた。

サイトカインを出す(血よ、集まれーという信号)

血が集まってくる、炎症が起こる。

サイトカインを出す(食べる細胞よ、集まれーという信号)

異物・毒素・ばい菌を食べる細胞が集まってきて、それらを食べる。

サイトカインを出す(情報を受け取る細胞よ、集まれーという信号)

食べる細胞は、その異物・毒素・ばい菌の情報を、違う細胞に渡す

サイトカインを出す(抗体を作る細胞よ、集まれーという信号)

情報を受け取った細胞は、その情報を抗体といってそれをやっつける物質を作る細胞へその情報を渡す。

そして、抗体を作る細胞はその情報を元に、抗体を作り、異物・毒素・ばい菌をやっつける

これが免疫反応です。

<免疫反応のイメージ>

免疫反応のイメージ

あまり詳しく書くと訳がわからなくなる可能性があるので、簡単に書きましたが、

上記にて色々な免疫細胞があるんだなということがわかったかと思います。

これらの免疫細胞を呼んできたり活性化させるのがサイトカインです。

<矢印がサイトカインに当たります>

矢印がサイトカイン

要は細胞自体は考えているわけではなく、その性質があるのみです。

それらを順番通りに呼んできて、システムを作っているのがサイトカインという信号です。

<サイトカインシステム>

サイトカインシステム

このサイトカインというのは、化学物質で色々な種類がありますが、それらはまた難しくなるのでここではお話ししません。

ただ、色々な種類のサイトカインがあってそれぞれで呼んでくる細胞が違うと思っていただければと思います。

そして、体の機能というのは、性質の違う細胞をサイトカインという信号で統率していると全体像をつかんでいただければ良しです。

<サイトカインネットワーク>

サイトカインネットワーク

歯周病で毒素が体の中に入ろうとした時、体は、

血よ集まれーとサイトカイン(信号)を出します。

そしてそれから、その毒素を食べる細胞よ集まれーとサイトカイン(信号)を出します。

そのあと毒素の情報を受け取る細胞よ集まれーとサイトカイン(信号)を出します。

それから抗体を作る細胞よ集まれーとサイトカイン(信号)を出します。

<免疫反応のイメージ>

免疫反応のイメージ

このように免疫反応はサイトカインという信号を出す事で進んでいくのです。

そして、このサイトカインが破骨細胞を活性化してしまう事につながります。

<サイトカインが破骨細胞を活性化>

破骨細胞を活性化

要は、炎症が起こり免疫反応が進む中で、破骨細胞よ集まれーとやってしまうのです。

その機序について次回詳しくお伝えします。

今回免疫機構については、ずいぶん省略しましたが、歯周病については詳しくいきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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posted by さけいくら at 23:15 | Comment(0) | 歯周病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月24日

歯周病5/7(なんで骨がなくなるの?3)



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

前回、歯周病で顎の骨がなくなるのは、歯周病菌の毒素で炎症が起こり、体の免疫反応が進むと骨を壊す破骨細胞の数が増える為新しく作られる骨の量より、骨を壊す量が多くなるので骨はなくなっていくというお話をしました。

今回より、なぜ免疫反応が進むと破骨細胞が増えるのかという事についてお話していきます。

それにはまず、

免疫反応の第一段階である‘炎症’について焦点を当てお話していきます。

歯周病というのは、歯肉炎と歯周炎の総称であるというお話を以前のブログでしました。「歯周病ってなに?

〜炎というのはそこに炎症が起こっている状態という意味です。

つまり、歯周病というのは‘炎症’と言い換える事も出来るわけです。

もっというと

歯の周りに炎症が常に起こっている状態(病気)を歯周病というのです。

なので、歯周病というのを理解する為に、この炎症というのは大事ですので今回少し詳しく書いていこうと思います。

‘炎症’というと医療関係者でなくてもなんとなくどんな状態か想像がつくと思いますが、今回は医療者並みに一般の方にも‘炎症’とはなんなのか?

ということを理解してもらおうと思います。

‘炎症’を理解するには、「炎症の五大徴候(ゴダイチョウコウ)」をお伝えした方が良いと思いますので、下記に引用します。

<炎症の五大徴候>

炎症の五大徴候

「炎症の五大徴候」とは、

1.発赤
2.腫脹
3.疼痛
4.発熱
5.機能障害


のことです。上記の徴候が炎症にはみられるよということです。

<歯肉炎断面図>

歯肉炎断面図

つまり炎症とは、その部位が赤くなり、腫れて、痛みと熱を伴い、動かすと痛いという状態の事をいいます。

これらは一般の方でも経験があるかと思います。

そしてこれはどうしてこのような状態になるかと申しますと、

それは、血が集まってきているからです。

血は赤いですね。なので赤くなり(発赤)、ふくれて(腫脹)、あったかくなる(発熱)わけです。


これが‘炎症’が起こっている時に起こっていることです。

歯周病の場合、歯周病菌の出す毒素に対して炎症が起こると以前のブログでお伝えしましたが

毒素が入ってくるとなぜ、体は血を集めようとするのでしょうか?それは、

血の中には、白血球・赤血球・血小板など代表的なものから他様々な成分が含まれます。

血液検査の結果を見てみるとたくさん項目があるのがわかると思います。

これらが、毒素をやっつけるのに必要だからです。

そして、ここから体の免疫反応というのがはじまります。

免疫反応については次回詳しく書いていきます。

今回は、歯周病菌の出す毒素に対して対抗する為に、体はその毒素がある場所に‘血を集める’ということ、

その血が集まった状態を‘炎症’というのだという事
が御理解いただければとても良いと思います。

次回、血が集まってきた後、体と歯周病菌との戦いがはじまります。これを免疫反応といいます。その過程でどうして、骨を壊す「破骨細胞」が増えるのかをお伝えします。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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posted by さけいくら at 21:16 | Comment(0) | 歯周病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月19日

歯周病4/7(なんで骨がなくなるの?2)



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

前回は、歯周病で骨がなくなるのは

破骨細胞>骨芽細胞

<破骨細胞と骨芽細胞>

破骨細胞と骨芽細胞

となっているからだというお話をしました。他にも‘恒常性’‘リモデリング’などの専門的なお話もしましたね。

そして今回より、「なぜ破骨細胞が増えてしまうのか」というのを書いていきたいと思います。

「なぜ、破骨細胞が増えてしまうのか」それは、‘炎症’が起こることからはじまります。

<炎症の断面図>

炎症の断面図

歯周病というのは、歯肉炎と歯周炎の総称ですが、〜炎というのは炎症が起こっていることを意味します。

<歯肉炎断面図>

歯肉炎断面図


では、なぜ炎症が起こるのかといいますとそれは‘歯周病菌’のせいです。

お口の中には、少し専門的になりますが

下記のような歯周病菌と呼ばれるばい菌が元々存在します。

<引用>
歯周病の発症は歯周病原菌の感染によって起こります。 口腔内には300〜400種類の細菌が存在していますが、その中でとくに歯周病原菌となる特異な最近は、アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス(A.A菌)、プロフィロモナス・ジンジバリス(P.G菌)、プレボテーラ・インテルメディア(P.I菌)、スピロヘータなどがあります。

細菌の名前などは覚えなくても構いません。

その細菌は歯磨きで取りきれなかったよごれを食べて‘毒素’を出すとだけ覚えていただければ幸いです。もう少し覚えていただければ、これらの細菌は‘嫌気性桿菌’という種類です。

<歯周病菌は毒素を出す>

歯周病菌は毒素を出す

体に毒素が入ってきた場合、人間の体は何が起こるかといいますと‘免疫反応’が起こります。

<免疫反応イメージ>

免疫反応イメージ

免疫反応の最初に起こるのが‘炎症’です。

<炎症の五大徴候>

炎症の五大徴候

ここで少しまとめます。

食べ物を食べる

歯磨きをする

取りきれない汚れが残ったままになる

その汚れを歯周病菌が食べて毒素を出す

体は毒素にたいして免疫反応の最初の段階である‘炎症’を起こす。

そして、炎症からさらに免疫反応が進んでいくと最終的に破骨細胞が増えて、骨芽細胞=破骨細胞という‘恒常性’が崩れ破骨細胞>骨芽細胞となり

<骨芽細胞や破骨細胞と免疫>

骨芽細胞や破骨細胞と免疫

結果、歯を支える顎の骨が減っていく歯周病となる

わけです。

ここで、炎症って何?なんで免疫反応が起こると破骨細胞が増えるの?

ということがわからなかったかと思います。

次回より上記の疑問にお答えしていきます。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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posted by さけいくら at 17:37 | Comment(0) | 歯周病 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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