スポンサーリンク

2015年01月06日

抜歯5/8(残根抜歯1)



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

今回は動画もあります。是非ご覧くださいませ。メルマガ登録(無料・解除可能)するとパスワードが発行・返信され、保護中のページに入力すると見れるようになります。
動画:「抜歯」


今回は、おそらく卒業してから初めてハマる「残根抜歯」について書きたいと思います。

残根抜歯とは写真のような、歯の根っこだけ残った状態の歯を抜く手技の事です。

引っかかる場所がなく、テコの力を使いずらいので、抜きづらいです。

<残根の歯>

残根の歯

私が口腔外科にいた頃、残根抜歯が出来るようになると埋伏抜歯も出来るようになると言われました。

つまり埋伏抜歯では、歯冠を切断したあとなどは残っているのは歯根だけとなります。

<埋伏歯の歯冠分割>

埋伏歯の歯冠分割

他にも色々な抜歯に応用が効くので、残根抜歯が出来るようになると、途端に抜歯が上手くなります。

ですので、是非ともものにしたいものです。

では下の写真を見て下さい。

<残根歯の実際>

R.jpg

この歯を抜いていく事を想定していきます。

まず、すぐにヘーベルをかけたくなりますが、最初は必ず探針でここまでが歯根、ここからは顎骨と境界をはっきりさせましょう。

これが一つのポイントになります。

残根状態の場合の多くは、周りの歯肉からの出血や虫歯がありわかりづらいですが、この境目をはっきりさせる事がポイントです。

なので、虫歯があれば削りとりますし、出血が激しい場合は止血してから抜歯操作に入ります。

<ある程度虫歯をとり、境界をはっきりさせる>

OIP.jpg

では探針で歯根と顎骨の境界を認識した後は、そのまま探針、もしくはエキスカ、もしくはルートチップ、もしくはNo.5の一番細いヘーベルをその境界にかけていきます。

<探針>

探針

<ルートチップ、No5へーベル>

ルートチップ、No5へーベル

つまり、上の写真を見ていただけるとお分かりになるように、細い抜歯器具がポイントになります。

残根抜歯で大事な事は、適性な大きさよりも大きい器具でやってはいけないという事です。

この境目の湾曲線よりも大きい器具、もしくは境界から外れた器具でやると、ただ歯根を押す、もしくは顎骨を押すだけになってしまうからです。

<歯茎、骨をへーベルで押している>

OIP - コピー (2)_LI.jpg

上の写真は黒い線がへーベルの湾曲だとすると、黒い線の左下の歯根の湾曲から外れている部分は、歯肉または骨を押していることになり、そこでストップしてへーベルは歯根と骨の間に入っていきません。

同様に下の写真は、歯根の上を押していることになり、同じくへーベルはそれより下に入っていきません。

<歯根を押している>

OIP - コピー_LI_Moment.jpg

これらが、実際臨床でへーベルをかけていると気づかずに行ってしまっていることが多いのです。

また、かかっていない(歯科医師は境目から外れているときこういう表現をします)時は、ツルッとすべって頬や歯肉を傷つけるおそれがありますので、注意が必要です。

歯根の湾曲に沿ってへーベルがかけられているときは、癒着していない限り、歯は動きます。動かないときは、一度よく見て確かめてみた方がいいかもしれません。


次に大事な事は下の図のように、顎骨の方が下になっている事です。

<顎骨の方が歯より下>

顎骨の方が歯より下

つまり残根の周りの顎骨の方が下にないとはっきりいって抜けません。

もしも残根の方が顎骨よりも下にきている場合は、いくらやっても抜けません。なぜなら、歯根が動くスペースがないですしテコの力を使う事が出来ないからです。

抜歯が上手くなるコツは、歯が動くスペースを作る事と、テコの力を利用することです。

なので下の図のようになっていたら

<顎骨の方が歯より上>

顎骨の方が歯より上

このようになるように、周りの骨を削りましょう。

<歯より上の顎骨を削ります>

歯より上の顎骨を削ります

また、歯茎がジャマなら歯茎を剥離したり、息肉があれば電気メスで焼き切りましょう。


境目がわかりづらければゼクリアバーややり状バーで境目を明示しましょう。

<歯茎を剥離して歯根と骨の境界を明瞭にする>

R.jpg

これらは躊躇なくやる、位に考えた方がいいです

そうしないと、やるべきか迷うので、同じ器具でずーっと抜けない抜けないとなる事が多いです。

ただ、例えばこんな症例

<横の歯が傾斜している上に、顎骨より歯がずいぶん下にある>

横の歯が傾斜している上に、顎骨より歯がずいぶん下にある


ここから、歯根を露出させる為に骨を削ると削りすぎです。

この場合は最初のまだ腕が未熟なうちは、潔く大学病院に紹介しましょう

初めのうちは、抜歯にハマる(手こずる)と、抜歯操作をもう少し続けるか、諦めて紹介するかの判断で迷う事が多いですが、これは大学病院へ紹介する一つの指標としてお考えいただければと思います。

では実際の抜歯の仕方ですが次回に続けたいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

インターネット歯医者さん☆メルマガ!☆のお知らせ〜

ブログの目次や全ての一般歯科動画が見れるなど特典がありますので、ご登録がまだのお方はどうぞ下記のフォームからご登録いただけると嬉しいです。無料です。

無料メルマガの説明動画はこちら

「インターネット歯医者さん」無料メルマガ登録はこちら→「インターネット歯医者さん☆メルマガ!☆」

posted by さけいくら at 10:36 | Comment(0) | 抜歯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月03日

抜歯4/8(上顎親不知ず)



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。


今回は動画もあります。是非ご覧くださいませ。メルマガ登録(無料・解除可能)するとパスワードが発行・返信され、保護中のページに入力すると見れるようになります。
動画:「抜歯」



今回は実際の臨床での抜歯についてお伝えしたいと思います。

抜歯といっても色々な抜歯がありますが、今回は頻度の多い上顎8番(上の親知らず)に焦点を当てようと思います。

まず教科書的な事から。抜歯の際は、どの抜歯でもまずは近心頬側にヘーベルを入れ、歯根方向に沿って押すことにより抜く事が出来ます。

<近心頬側にへーベルを添わせる>

近心頬側にへーベルを添わせる

これで教科書的な事はおしまいです。詳しくは前回のブログ「抜歯手技」をお読みいただければありがたいです。

ただ、教科書通りにいかないのが臨床で、そもそも親知らずという奥の歯の歯根方向に力をかけるには、直のヘーベルではダメですね。(写真の上)

<上:直のへーベル 下:曲のへーベル>

上:直のへーベル 下:曲のへーベル

なので、曲がりのヘーベルを使います。(写真の下)

これなら歯根方向に力をかけられるわけです。

このようにヘーベルを近心頬側に添わせたら、10度から20度位グリグリと左右に回転させながら、歯根方向に押します

<へーベルをかける>

へーベルをかける

そしてここからが、上顎親知らず特有の抜き方になります。

まず当然ヘーベルは最初歯根方向に力をかけます。

そこで、親知らずはそれより後ろに歯がないことを思い出しましょう。

<上顎親不知 後ろに歯はない>

上顎親不知 後ろに歯はない

つまり、抜歯する方向は上だけではなく、後ろにもスペースがあるという事です。

それを思い出しましたら、そこからヘーベルを45度から90度回転させます。

すると力は遠心頬側(奥でかつ頬側)方向に向かい、その方向に親知らずは抜けてきます。

<矢印の方向に歯は抜けてくる>

矢印の方向に歯は抜けてくる

つまり上の親知らずは遠心頬側方向に抜くと覚えていただけたらと思います。

後ろに歯がないので、必ずしも真上に抜かなくても良いということです。

また、

教科書的ではないことで、とっておきの方法をお伝えしようと思います。

それは分割鉗子(ぶんかつかんし)を使う方法です。

<分割鉗子>

分割鉗子

上顎でも上の写真の下顎用分割鉗子を使います。

こちらを7と8の間に入れてあまり力をかけてはダメですよ。

軽く、クイッ・クイッと閉じて見て下さい。


<分割鉗子使用例>

分割鉗子使用例

抜けてきますよ。

要は、7.8の間に分割かんしを入れて閉じると近遠心(奥にも手前にも)に力がいきます

<矢印の方向に力がかかる>

矢印の方向に力がかかる


8は近心に歯(7)があるので、支えられており、7の遠心からは遠心方向に抵抗する力がかかります。

つまり、7が耐えられないような力をかけてはいけませんが、それ以下であれば、力は8の遠心方向(奥方向)にかかります。

<矢印の方向 遠心に力がかかる>

矢印の方向 遠心に力がかかる

さらに、頬側方向にねじると、これで力は遠心頬側面方向にかかりますね

<矢印の方向 遠心頬側に力がかかる>

矢印の方向 遠心頬側に力がかかる

これだけでほぼ抜けてます。

注意として、力をかけ過ぎないこと。少し8をヘーベルで脱臼させてからやると、7にあまり力がかからなくてより安全です。

そして、上顎でも分割鉗子は下顎用を使うということもご参考ください。

是非お試しあれです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

インターネット歯医者さん☆メルマガ!☆のお知らせ〜

ブログの目次や全ての一般歯科動画が見れるなど特典がありますので、ご登録がまだのお方はどうぞ下記のフォームからご登録いただけると嬉しいです。無料です。

無料メルマガの説明動画はこちら

「インターネット歯医者さん」無料メルマガ登録はこちら→「インターネット歯医者さん☆メルマガ!☆」

posted by さけいくら at 09:02 | Comment(0) | 抜歯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月01日

抜歯3/8(抜歯手技)



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。


今回は動画もあります。是非ご覧くださいませ。メルマガ登録(無料・解除可能)するとパスワードが発行・返信され、保護中のページに入力すると見れるようになります。
動画:「抜歯」


前回の続きで、これから「抜歯手技」について書いていこうと思っておりますが、抜歯といっても色々あります。

歯周病でグラグラしていて手でも抜けそうな抜歯もあれば、下顎の水平埋伏や骨癒着歯の抜歯など難易度も様々です。

なので、今回は頻度も多く、難易度も中度から中の上位である

「上顎親知らず」「残根抜歯」について、次回よりまた教科書的ではないことに焦点を当てお話ししていきたいと思います。

そしてその前に、抜歯の基本手技について追加させていただきます。

抜歯というと、下の写真のような歯を掴む道具で引っ張って抜くイメージが強いかと思いますが、実はそれを使うのは、最後です。

<歯を抜くイメージ>

歯を抜くイメージ

実際はこの歯をつかむ道具は、鉗子(かんし)といいまして、下の写真のような器具になります。

<鉗子>

鉗子

ではそれまでは、何を使うのかといいますと、ヘーベルというのを使います。

<へーベル>

へーベル

これを上手く使える人が抜歯の上手い人と思っていいと思います。

実際、私が口腔外科で習っていた最初の頃、鉗子を使うのは禁止されていました。

全てヘーベルで抜くようにということです。その方が腕が上がるからという理由でした。

私は今でも鉗子を使うのは、ほとんど歯が抜けてからです。抜けた歯をお口の中に落とさないように掴むくらいにしか使用しないことがほとんどです。

逆に早い段階で鉗子で抜こうとすると、歯根が折れたり、薄い骨が骨折したりするリスクが高くなります。

その位、抜歯において、ヘーベル操作というのは大事です。ただ普通一目見ただけで、この器具で歯を抜くというイメージが出来る方は少ないと思います。

何に使うかといいますと、ヘーベルというのは歯を脱臼させる為に使います。

下の写真のように、歯根と骨の間に沿わせて、15度位左右にグリグリ回しながら、押して行きます。

<へーベルを歯根と骨の間に沿わせる>

へーベルを歯根と骨の間に沿わせる

すると、歯と骨をつないでいる歯根膜という繊維が切れ歯が脱臼します。

<歯が脱臼する>

歯が脱臼する


そして、ヘーベルの事をエレベーターという先生もいますが、歯は先細りの形をしているので、このまま押していくと、歯は上に上がってきます。

<歯は上に上がってくる>

歯は上に上がってくる


これがヘーベルで歯が抜ける理屈です。

ただ、実際は理屈通りにはいかず、ヘーベルのみで歯を抜くのは結構難しいです。

大抵の抜歯手技というと、まずはヘーベルでグリグリやると歯が動き出して少し上に上がってきます。この状態を歯が脱臼したといいます。

そこから鉗子を使い抜いていきます。

<脱臼してから、鉗子で抜く>

脱臼してから、鉗子で抜く

あくまでもヘーベルで脱臼させてから鉗子です。

また、教科書的には最初ヘーベルは近心頬側(手前側かつ頬側)にかけますが、私はこだわっていません。かかるところにかけます。しかし、基本は近心頬側というのは知っておいた方がいいと思います。

<まずは近心頬側にへーベルをかける>

近心頬側にへーベルをかける

いかがでしたでしょうか?一般の方で御自身が抜歯を体験する時は、今使っているのは、ヘーベル鉗子か考えて見るのも面白いかもしれませんね。

まあそんな余裕ないというお声が聞こえてきそうですが、気が紛れていいという方もいるかもしれません。

また、自分が何をされているのかわかった方が怖くないという方も結構いらっしゃいます。

最後に歯科医師先生方へ、少し教科書的ではないお話をさせていただくと、

<抜歯手技 図解>

抜歯手技 図解

抜歯中、器具はどんどん変えた方がいいです。5番のヘーベルがダメなら、3番、3番でダメなら逆にルートチップにしてみるや探針やエキスカ使ってみるなど、どれかで歯が動きはじめるかもしれません。

ずーっと同じ器具で、うーん抜けない抜けないとやっているのが、患者さんからすると一番下手くそに見えるので、注意です。(実際下手でなくても)

逆にあの手この手で抜いていこうとすると経験値も増えると思います。

では次回より「上顎親知らず」「残根抜歯」について私の手技を御紹介していきます。

よろしくお願い致します。ここまでお読みいただきありがとうございました。

インターネット歯医者さん☆メルマガ!☆のお知らせ〜

ブログの目次や全ての一般歯科動画が見れるなど特典がありますので、ご登録がまだのお方はどうぞ下記のフォームからご登録いただけると嬉しいです。無料です。

無料メルマガの説明動画はこちら

「インターネット歯医者さん」無料メルマガ登録はこちら→「インターネット歯医者さん☆メルマガ!☆」

posted by さけいくら at 23:06 | Comment(0) | 抜歯 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
スポンサーリンク

動画やブログの文章などは、私のオリジナルですので、著作権保護されております。無断での複製や引用はお控え下さい。よろしくお願い致します。