この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。
心よりお礼申し上げます。

→動画:「麻酔抜髄」
前回の続きで、今回は麻抜ステップ3「天蓋除去」です。
天蓋とは神経が入っている部屋の天井部分のことをいいます。
写真でいうとここの事です。
<天蓋>

この天蓋を全部除去しないと、歯の根っこまで器具が通らないので、この「天蓋除去」というステップが必要になるのです。
この時に髄床底といわれる部分を傷つけないように、また余計な部分を削り過ぎて歯に穴があかないように、天蓋の部分のみを除去しなければなりません。
<髄床底>

今回はその為の方法をお伝えしたいと思います。
まずは教科書的な事からお話しします。
天蓋は咬合面から(上から)見るとこのような形をしています。
<天蓋 咬合面観>

教科書では、天蓋除去というのは、この天蓋をラウンドバーで丁寧に除去すると書いてあります。
ではどんなバーを使って、どのような順番でやると、スピーディかつ正確な天蓋除去が出来るのでしょうか?
私の方法をお伝えします。
ポイントはこのバーを使います。
大きいツボミ状のバーです。
<大きいつぼみ状のバー>

穿通が終了した時点では下の写真のようになっております。赤く出血している部分が穿通箇所です。
<穿通時>

ここからラウンドバーで天蓋除去をしようとすると、ラウンドバーでは当然ながらラウンドの部分しか削れない為、図の部分は削れません。
<ラウンドバーでは削れない部分>

最終的にはこの形にしたい。
<天蓋除去>

そこで、大きなツボミ状バーの出番です。
大きなツボミ状バーでこのように削ります。
<大きなつぼみ状バー>

<大きなつぼみ状バーで削った後>

横の図にすると、黒線より上が除去されます。
<大きなつぼみ状バーで黒線より上が除去される>

こうしておくことで、先程、ラウンドバーでは削れなかった部分が削ってあることになります。
さらに天蓋の位置の目安がつきやすく、直視(ミラーを使わず、そのまま目で見ること)しやすくなります。
直視しやすいという事は、操作がしやすく、処置スピードは上がり、また歯に穴があくパーフォレーションなどのリスクも減ります。
また、他にもパーフォレーションのリスクが減る要因がありまして、
やってみると分かりますが、図の部分の厚みが薄くなる為、ここを削る時の抵抗が少なくなる為です。
<青い矢印の部分が薄くなる>

バーに抵抗を感じたらそれ以上削らないようにしましょう。
抵抗なく削れる部分が天蓋です。
この部分はとても大事なので、覚えていただいた方が良いかと思います。
時々根管を見つける為に追求して削っていきパーフォレーション(歯に穴があく)してしまう方がいますが、根管孔明示は次のステップです。
パーフォレーションを避ける為にも、この「天蓋除去」をしっかりと行いましょう。
天蓋を残したまま根管を探そうとすると、盲目的になる分パーフォレーションする可能性が高くなります。
天蓋がしっかり除去されれば、根管は見えます。
では話を戻し、穿通させた部分から、ラウンドバーを上下させながら、教科書通りに丁寧に天蓋を除去します。
ある程度終わると下の写真のようになります。
<ラウンドバーで天蓋除去した後>

少しギザギザしている部分を、そのまま大きいツボミ状バーでスムースにしてもいいですし、ツボミ状バーが大き過ぎると感じる場合は、マッチ棒のバーを使いスムースにします。
<マッチ棒バー>
そして、その際は断面図にすると下の図の部分を削る事になります。
<矢印の部分を削る>

当然、ほとんど抵抗なく削れます。
この抵抗なく、が重要なので、よく覚えていただけると良いと思います。
そして、マッチ棒バーもしくはツボミ状バーでスムースにすると下の写真になります。
<天蓋除去完了後>

これで「天蓋除去」は終了です。
根管も見えますね。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
〜インターネット歯医者さん☆メルマガ!☆のお知らせ〜
ブログの目次や全ての一般歯科動画が見れるなど特典がありますので、ご登録がまだのお方はどうぞ下記のフォームからご登録いただけると嬉しいです。無料です。
「インターネット歯医者さん」無料メルマガ登録はこちら→「インターネット歯医者さん☆メルマガ!☆」