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2014年07月03日

魂を込めるって?2/2



この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。


前回の続きです。

感情を込めることと魂を込める事は実は違って、臨床を続ける上では魂を込める事が大事であるというお話でした。

それで、魂を込めるって?というのが今回です。

具体的な例を上げて行きたいと思います。

例えば、優秀な外科医も自分の親や自分の子供は執刀出来ないというお話を聞きますが、これは感情が大きく入るからだと思います。

例えば、イライラしてる時や嬉しくて飛び跳ねそうな時に車の運転をするのは気を引き締めなければいけませんね。

魂を込めるとは、この気を引き締めるときの感覚に似ています

例えばそんな時、今はこれに集中。と心の中で何度も唱えるかと思います。

そして、浮ついた意識がだんだん落ち着き、

顎は引き気味になり、目に力が入ってきます

声はお腹から出るようになり、自分のパフォーマンスを高い次元で維持出来る、不測の事態にも対応出来る、そんな状態です。

車つながりいいますと、F1レーサーのスタート前の状態に似ているかもしれません。

この状態を魂が入ると私は表現しているわけです。

なんとなくわかるとなっていただければありがたいのですが、

医療をやっていると、このコントロールが難しいのです。

気を抜くとすぐに感情に取り込まれてしまいます

なぜなら、かわいそうな人がいたら、誰だって助けたいと思いますよね。自分にとって大事な人ならなおさらです。

私は患者さんを大事に思っていますし、スタッフにも患者さんを自身の家族・親戚と同じように、誠意を持って接するように徹底しています。

ですからすぐに感情が入ってきます

しかし、感情が入れば入る程、パフォーマンスは上がっているように見えて、その実あまり変わらないか、下がる事もあります。

そして、精神的な疲労感は何倍にもなります。

いつの間にか、処置にこんなに時間がかかってしまった。だったり、周りが見えなくなってその患者さんはルンルンで帰っても、他の患者さんには不満足を与えてしまった、だったりです。

例えば先程のF1レーサーにさらに感情を入れてみたいと思います

下記のように想定を加えてみます。


そのF1レーサーは、大事な自分の子供が病気で今日これから手術です。手術代は大変高額で今日のレースに勝たなければ、手術代が払えないとしましょう。

子供の容体も心配です。誰だって感情的になる想定であると思います。

そんな時、前を走る車がクラッシュし、自分の車に向かってきたとします。

当然焦りますよね。感情に支配され、頭が真っ白になってしまっては自分もクラッシュしてしまいます

その時、このクラッシュした車を回避し、レースに勝つ為に必要な精神状態はどのようなものでしょうか?

みなさんが想像した状態が魂が入っている状態です。

疲れも、不安も、恐怖も、楽しさや嬉しさ、嫉妬など一切感情のない世界です。

でも眠ってるわけではなく、あとから考えると自分でもビックリする位のパフォーマンスを行っている状態です。もしかしたら全てがスローモーションに見えるかもしれません。

運動選手などが、よくゾーンに入るといいますが、それも近いですね。

ただ、今のお話は極限の状態であり、診療中にゾーンに入れと言っているわけではありません。

先程の想定では、誰であっても、私であっても感情が入ってしかるべきです

感情を入れることがいけないわけではなく

ただ、その燃えるような、焼かれるような感情を、魂を込めることへ変換することが、医療者のマインド技術として大切ではないか、というお話が私がお伝えしたいことです。

感情ももちろんなければいけないと私は考えています。

そうでなければ、人に共感する事は出来ませんし、本当に人を癒したり、周りにこの人について行こうと思わせる事は出来ません。

それは医療者としては致命的だから
です。

しかし、感情に支配されてしまうのも人の身体を預かる身として致命的なわけです。

つまり、感情を込めるという事と魂を込める事というのは違うものだと認識し、感情を、魂を込めることへ変換したり、そのようにコントロールする事が大事ということです。

人は思ったより、大部分を感情が支配していますので、意図的に魂を込めるには訓練がいりますし、だいぶ修羅場もくぐらなければなりません。

どんな不測の事態が起きても感情をコントロールできるハートを鍛えなければならないとなります。

それはやだなあと思われると思いますが、

魂が込められるようになると恐怖にだって蓋をする事が出来ます。色々な事も出来るようになると思います。

但し、簡単ではないですよね。私も自身でまだまだだと思っています。

でも(他の業種もそうだとは思いますが)医療者として、大事なことであると当時理事長先生はおっしゃいました

そして私もあれから十数年、つらい気持ちでいっぱいになることもありましたが、救ってくれた思考でもあります

暑くるしいかもしれませんが、これからもこのブログ記事を読んでくださっている方と一緒に精進していけたら嬉しいです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。




タグ:歯科 感情

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posted by さけいくら at 23:33 | Comment(0) | 思考編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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