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2014年05月20日

インレー形成2/22(設計)


この度もブログ「インターネット歯医者さん」をお読みいただき誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。

今回は動画もあります。是非ご覧くださいませ。
動画:「インレー形成」

前回の続きです。

インレーですが、まずこんな形をしています。

<インレー見本>

インレー見本.jpg

このように歯を削って詰め物を作ります。インレー窩洞といいます。

<インレー窩洞>

インレー教科書.jpg

はい、これで教科書的なことはおしまいです。どこにでも載ってますからね。

ところでみなさんは銀の詰め物を入れた後、治療は終わったと言われたのに、冷たいものにしみるようになったという経験があるのではないでしょうか?
今日はそうならない為のテクニックもご紹介しますね。

まず私がインレー治療で気をつけて要ることは

・マージン(銀と歯の境目)を不潔 域に設けない。

・外れない。

・しみない。

大きくこの3点です。

他にもあまりそとから銀色が見えないようにするというのもありますが、これは審美治療になりますので今後のお楽しみにして下さい。

では、まず不潔域にマージン(境目)を設けない、からですが、
これはとっても大事です。
以外に抜けてる先生も時々教えていておりますが、ちゃんと守らないとそこからまた虫歯になります。

また、それを守るとおのずと”形”も決まってきます。

歯には3大不潔域というものがあります。要はだいたい虫歯はそこから出来ますよ。といった場所があるのです。

それは、隣接面・咬合面・歯茎側3分の1です。

絵に書くとこうなります。

<3大不潔域>

歯の不潔域.jpg

ここに銀歯の境目を持ってきてはなりません。

なので下の写真のような形態は、推奨しません。

特に上の写真の例は、外から銀色が見えないんだよと得意になってしまいそうですが、いけませんよ。不潔域にマージン(銀と歯の境目)を設けると虫歯になります。

<スライスカットがない、不潔域である隣接面にマージンがきている>

インレー悪い見本(スライスカットなし).jpg

<隣接面・咬合面は覆っているが、頬側側室が歯茎側3分の1にきている>

インレー悪い見本(不潔域マージン).jpg

次に外れないですが、窩洞が浅く隅角が出ていない。隣接のテーパー(傾き)が緩いと外れます。良く外れてくるのはこんな形。(上:隣接のテーパーが緩い 下:窩洞の隅角が不明瞭)

<テーパーが緩い>

インレー悪い見本(テーパー強い).jpg

<窩洞の隅角が不明瞭>

インレー悪い見本(隅角出ていない).jpg

特に隣接のテーパーが緩くならないように気をつけましょう。

外れるかな?外れないかな?というのは頭の中でこの窩洞で作ったインレーが入った模型を


想像して・・ひっくり返して下さい。


ポロっと落ちそうだなと思ったらもう少し維持を設けます。少しでも引っかかって落ちないようなら、最近は接着剤も良くなっているのでそう外れないと思います。一つの目安ですが効果あると思いますよ。


最後にしみないですが、きちんと裏層をする事です。あと私は基本的にメタルインレーの場合は側室はつけません。側室ってなんでしょう?補助的保持形態ですよね。

つけなくても外れないならいらないと思います。無駄に歯は削りません

保持部が少ない時はつける事もありますが、つけても申し訳程度、もしくは神経の突出を避けてこういう形にします。(上:推奨する例。神経の突出部を避けた形態。下:推奨はしない例、しみやすい例、神経の突出部分に側室の一番深い部分がきている。)

<神経の突出部をさけた形態>

インレー良い見本(側室).jpg

<神経の突出部分に側室の一番深い部分がきている>

インレー悪い見本(側室).jpg

ここまでは基本的な話ですが、ここから少し専門的な話になります。これでもしみてしまうような深い虫歯はどうするか?

私は虫歯をとった後神経まで近いなと思ったら、穴の一番底に水酸化カルシウム製材をちょんとつけてからグラスアイオノマーセメントが含まれた裏層剤で裏層してから形成します。

水酸化カルシウム製材は第二象牙質を誘導する為、グラスアイオノマーセメントは歯髄鎮静作用で神経を落ち着かせる為、またフッ素徐放性があるので虫歯予防効果を期待しています。

それでも、しみそうだなと思ったら私は、仮封の前に窩洞面にC.Cを塗布しておきます。これでまずしみません。

これでもしみるといった場合は打診があれば麻酔抜髄。なければ窩洞にC.Cではなく、サホライドを塗ります。塗った面は黒くなりますが、上からメタルインレーが入れば外から見えません。

この方法で、私は今までインレー治療をそりゃもう何千とやっているわけですが、麻酔抜髄になるのは2年に1人?いるかなという感じです。

もちろん、抜髄か残すかの診断はきちんとしておりますが、それでも私は出来るだけ神経は残そうとする方でして、その方向でやってこの割合です。

そんなの知っているよという方も多いかもしれませんが、まあ基本編なので,すいませんが大目に見てくださいませ。

ここまでお読みいただきありがとうございました。



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posted by さけいくら at 10:34 | Comment(0) | インレー形成 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月19日

インレー形成1/22(はじめに)



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今回は動画もあります。是非ご覧くださいませ。
動画:「インレー形成」


前回のブログでインレー治療(銀の詰め物)を取り出した為、今回は私のインレー治療をご紹介したいと思います。

その前にちょっとお話したいことが・・

このブログではちょくちょく技術面に関してやメンタル面に関しての記述がでてきますが、これはあくまで私の見解・やり方であって私個人は正しいと思ってやっていることですが、例えば教科書のように普遍的に正しい事とは種類が違います。

先生、それは違うんじゃないの?だったりもっとこうするといいよ。私だったらこうしてもらいたい、などの御意見はありがたく頂戴しますが、くれぐれも普遍的に正しい事と認識はしないでください。

あくまで参考程度になればいいですし、御自身が納得出来るところだけ利用してもらえたらいいと思います。

私よりキャリアのある先生や上手い先生がいることは重々承知しております。

あーこの先生はこんな風にしてるのね。程度に考えてもらえればと思います。

私も研修医の先生の参考になれば、くらいの気持ちで書きます。

また、患者さんが自分に入っている銀歯はこういう形をしてたのかと思ってもらえれば、それで意味をなしますm(_ _)m

では、インレー形成。次回に続きます。


ここまでお読みいただきありがとうございました。



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posted by さけいくら at 15:14 | Comment(0) | インレー形成 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月16日

医療者としての思考



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今回は題「医療者としての思考」です。

私は常々、人となりとは

思考行動結果

の順番になっていると考えております。

まず思考があって、それにともないそれが行動にあらわれ、結果、結果となると、まあ考えているわけです。

本日は医療者としての思考に関するお話です。

さて、いきなりですが原則とはなんでしょうか?

かの有名なウォーレンバフェットは時代遅れになってしまうものは原則とは呼ばないという事を仰っておりましたが、

医療というものにも2千年前から今も語り継がれているヒポクラテスの誓いというものがあります。

下記に引用します。

ヒポクラテスの誓い(訳:小川鼎三)

1.この術を私に教えた人をわが親のごとく敬い、わが財を分かって、その必要あるとき助ける。

2.その子孫を私自身の兄弟のごとくみて、彼らが学ぶことを欲すれば報酬なしにこの術を教える。そして書きものや講義その他あらゆる方法で私の持つ医術の知識をわが息子、わが師の息子、また医の規則にもとずき約束と誓いで結ばれている弟子どもに分かち与え、それ以外の誰にも与えない。

3.私は能力と判断の限り患者に利益すると思う養生法をとり、悪くて有害と知る方法を決してとらない。

4.頼まれても死に導くような薬を与えない。それを覚らせることもしない。同様に婦人を流産に導く道具を与えない。

5.純粋と神聖をもってわが生涯を貫き、わが術を行う。

6.結石を切りだすことは神かけてしない。それを業とするものに委せる。

7.いかなる患家を訪れる時もそれはただ病者を益するためであり、あらゆる勝手な戯れや堕落の行いを避ける。女と男、自由人と奴隷の違いを考慮しない。

8.医に関すると否とにかかわらず他人の生活について秘密を守る。

9.この誓いを守りつづける限り、私は、いつも医術の実施を楽しみつつ生きてすべての人から尊敬されるであろう。もしこの誓いを破るならばその反対の運命をたまわりたい。

 この「誓い」は、二千年以上前の医療状況下で書かれたものであるので、一部の内容は現代に適さないものもありますが、

多くは現在でも医療倫理の根幹を成しています。

患者の生命と健康保持のための医療を要とし、患者のプライバシー保護、医学教育における徒弟制度の重要性、専門職としての医師の尊厳など多岐にわたっており、「誓い」は弟子たちによって確実に継承され日本でも江戸時代の蘭方医によって伝えられております。

〜引用終わり〜

さて、いかがでしたでしょうか?

現代には当てはまらない部分もありますが、そこはバフェット先生の言葉になぞらえて置いておくとして、このヒポクラテスの誓いは現代も私達医療者が、学生の時に最初に習うものです。

これを読んで、優しい気持ちになったり、気が引き締まったりするあなたは医療者としての素質があるかもしれませんね。医は仁術なりと申しますが、その気持ちこそ原則なのかもしれません。


話は変わりますが・・

昔、私が東京女子医大で研修を受けている時こんな事がありました。

虫歯を削って、型をとり、模型にして、銀の詰め物(インレー)を作る治療がありますが、
私が研修医の時、指導医の先生に自分が削った歯の模型を添削してもらう機会がありました。

私はいっぱい練習しましたから、ほぼ教科書通りの形に削り、自信満々で見せにいきました

心の中では見よ、この美しい曲線!という具合にきっと褒めてもらえると思って意気揚々と見せたのです。


すると指導医の先生は、「ふーん、でどうしてこういう形にしたの?」

私は、「あ・・え?」


それを答えられないなら君は医療者ではない。とピシャッと言われてしまいました。


患者さんは100人いたら100人共、当たり前ですが違う人間です。

虫歯リスクの高い人もいれば低い人もいます。痛みに強い人もいれば、そうでない人、神経質な人もいれば歯が一本二本なくても関係ないねという人もいます。

虫歯リスクが高い為にこういう形にしました、だったり、この方は若く神経が旺盛なのでここに側室を形成するのはやめよう、だったり。

または、この人は一度他院で外れているので次は絶対外れないようにここに維持部を設けよう。

レントゲンでみたらここに歯の神経が突出しているので形成面から外そう。

この人は咬合が強いためCRではなくインレーにしよう。

など、同じ虫歯の治療でもどこまでも深く考えて行動する事が出来ます。

患者さんは体を預けているわけです。自分がどんな事を行っているのか、なぜそうしたのか。
それをはっきり言えないようでは、私だってそんな人にやってもらいたくないですし、

それをどこまで考えられるか”が医療者としての思考なのだと思います。

偉そうな事を言いましたが、当時、君は教科書を真似ただけだねと言われ、恥ずかしい思いをした話でした。

そして、医療者とは何か考えさせられた経験です。

とかく歯医者は技術に目がいきがちですが、もちろん技術も大事ですが、医療者としての思考が伴ってこそなのだと思います。

まさに思考→行動、そして結果として患者さんは身体を委ねようと思うわけですね

ここまでお読みいただきありがとうございました。




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posted by さけいくら at 23:29 | Comment(0) | 思考編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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